文献詳細
文献概要
臨床報告
腸管狭窄をきたした小腸悪性リンパ腫の1例
著者: 杉朋幸1 高久秀哉1 貝塚博行1 田野井智倫1 朴秀吉1 東和明1
所属機関: 1水戸済生会総合病院外科
ページ範囲:P.105 - P.108
文献購入ページに移動症例は80歳,女性.黒色便を主訴に当院を受診した.腹部骨盤CT検査で小腸の壁肥厚を,小腸造影検査で腸管の拡張不良を認め,精査中であった.初診から約2か月後,腹痛,嘔吐が生じ緊急入院となった.保存的治療で改善せず,腫瘍や炎症による小腸狭窄を疑い,入院後12日目に手術を施行した.Treitz靱帯から200 cmの小腸に狭窄を認め,腹腔鏡補助下小腸部分切除術を施行した.病理組織検査で,小腸原発の濾胞性悪性リンパ腫と診断した.腸管狭窄をきたした悪性リンパ腫の本邦報告例をまとめると,肉眼所見で潰瘍型を呈していた症例が多かった.原因が特定されない小腸狭窄の症例において,本症の可能性を念頭に置くことが肝要である.
参考文献
掲載誌情報