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大腸癌gene signature—予後予測ツールとしての利用価値と今後の展望
著者: 神藤英二1 梶原由規1 上野秀樹1
所属機関: 1防衛医科大学校外科学講座
ページ範囲:P.1238 - P.1242
文献購入ページに移動近年,再発高リスク症例の選別を目的として,手術検体より抽出したRNAを用いて遺伝子発現プロファイリング解析を行い,再発症例に強く発現する遺伝子群を同定する試みがなされている.特に乳癌領域で研究が先行的に進められ,再発における重要なプロセスである細胞周期,血管新生,細胞移動,シグナル変換などに影響を与える70の遺伝子発現から再発リスクを判定するMammaPrint®や,同様に21の遺伝子発現から再発スコアを算出するOncotype DX®などの遺伝子アッセイが商品化されている.乳癌以外の癌腫においても同様の遺伝子アッセイの開発が進められ,大腸癌領域では術後の化学療法選択の一助として臨床応用が期待されている.
大腸癌治療ガイドラインでは,「Stage Ⅱ大腸癌に対する術後補助化学療法の有用性は確立しておらず,一律に補助化学療法を行わないよう勧められる.ハイリスク患者の選別にあたり,より有用性の高いバイオマーカーの探索研究が進められている」と,今後の発展に期待を込めた記載がなされている1).しかしながら,測定費用は高価で,現状では一般診療での利用は限定的である.また,予後予測因子を化学療法の効果予測因子として利用することの妥当性は明らかにされていない.本稿では,遺伝子発現プロファイリング診断の構築方法,大腸癌における診断法の予後予測性能と特色について詳述する.
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