icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科73巻10号

2018年10月発行

文献概要

臨床報告

索状物による絞扼で生じた急性胆囊炎の1例

著者: 佐藤礼子1 北村祥貴1 山本大輔1 稲木紀幸1 黒川勝1 伴登宏行1

所属機関: 1石川県立中央病院消化器外科

ページ範囲:P.1280 - P.1283

文献購入ページに移動
要旨
患者は80歳代,女性.排便後の突然の右上下腹部痛を主訴に救急外来を受診した.腹部は平坦,軟で,血液検査でCRPとALPの軽度上昇を認めた.腹部CTでは胆囊に高度の浮腫があり,胆囊粘膜は造影されたが胆囊筋層と漿膜には造影効果を認めなかった.胆囊捻転症と診断し,緊急手術を施行した.腹腔内を観察すると,胆囊頸部から体部は胆囊床に固定されていたが,底部は肝に付着していなかった.胆囊は胆囊漿膜から肝表面へつながる索状物で絞扼されており,暗赤色を呈し浮腫状であった.索状物を切離すると絞扼は解除された.型通り腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した.絞扼による胆囊炎は稀な疾患であり,文献的考察を含めて報告する.

参考文献

1)新村光司,権田厚文,藤井祐二,他:索状物による絞扼で生じた壊死性胆囊炎の1例.日腹部救急医会誌23:973-976,2003
2)成田一之,瀬川 徹,田中邦彦:大網・小網バンドによる絞扼性胆囊炎の1例.日腹部救急医会誌15:800,1995
3)小林洋明,成田圭吾,小野裕國,他:索状物による絞扼で生じた急性胆囊炎の1例.日臨外会誌65:3370,2004
4)家城真理,水野伸一,伊藤直人,他:肝床に付着した大網による絞扼で生じた壊死性胆囊炎の1例.日臨外会誌65:2012,2004
5)田中宏幸,佐藤宗勝,西山綾子,他:腹腔鏡下に切除した絞扼性胆囊炎の一例.日臨外会誌66:688,2005
6)Ueo T, Yazumi S, Okuyama S, et al:Acute cholecystitis due to strangulation of a floating gallbladder by the lesser omentum. Abdom Imaging 32:348-350, 2007
7)福 昭人,坂上美和子,福 幸吉,他:横行結腸間膜の炎症性絞扼で梗塞性胆囊炎を発症した超高齢者の1手術例.日消外会誌40:1324,2007
8)佐野史歩,重田匡利,須藤学拓,他:索状物により絞扼を来たした急性胆囊炎の一例.日臨外会誌70:952,2009
9)帖地 健,三木 厚,佐田友藍,他:絞扼性胆囊炎の一例.日腹部救急医会誌31:396,2011
10)井原 司,冨崎真一,福田勇人,他:大網による絞扼性胆囊炎の1例.日消外科会総会67:2,2012
11)北島慶子,成富一哉,川畑方博,他:胆囊捻転症と鑑別を要した絞扼性胆囊炎の1例.臨と研90:103-106,2013
12)國近公介,武田 晃,八島暁英,他:絞扼性胆囊炎の1例.広島医68:460,2015
13)服部 直,山野寿久,横山伸二,他:絞扼性胆囊炎の一例.日肝胆膵外科会抄集28:684,2016
14)國近公介,武田 晃,八島暁英,他:遊走胆囊に合併した絞扼性胆囊炎の1例.広島医70:260-263,2017
15)松本 勲,高橋一郎,品川 誠,他:腸閉塞で発症したクラミジア感染症Fitz-Hugh-Curtis症候群の1手術例.日消外会誌31:2374-2378,1998
16)須崎 真,池田 剛,酒井秀精,他:胆囊捻転症の1例—本邦236例の検討.胆と膵15:389-393,1994
17)林  勉,鈴木弘治,蓮尾公篤,他:腹部超音波検査で術前診断しえた胆囊捻転症の2手術例.日腹部救急医会誌28:981-984,2008
18)神谷紀之,関戸 仁,佐藤加奈子,他:CTにより術前診断し得た胆囊捻転症の1例.胆と膵20:1033-1036,1999
19)阿部俊哉,中島 洋,松本英男,他:術前に胆囊捻転症と診断し腹腔鏡下胆囊摘出術を施行した3例.臨と研92:1043-1046,2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?