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増刊号 あたらしい外科局所解剖全図—ランドマークとその出し方 肝胆膵 《Special Lecture》
尾状葉門脈枝のバリエーション
著者: 益田邦洋1 中川圭1 青木修一1 海野倫明1
所属機関: 1東北大学大学院消化器外科学
ページ範囲:P.212 - P.218
文献購入ページに移動尾状葉は肝両葉および肝門の背側で,下大静脈を取り囲むように位置している.一般に肝葉切除では,切除側片側のみの切除であったり,尾状葉を切除しないことが選択される.しかし,肝門部領域胆管癌では,尾状葉胆管枝への浸潤が高率に認められ,尾状葉の切除は根治に重要とされている.
日本では公文1,2)が,尾状葉を「門脈本幹もしくは一次分枝に支配される領域」と定義し,下大静脈部,Spiegel葉,尾状突起の3つに細分類することが一般的となった(図1).しかし,Couinaud3)は形態学的に「肝門から主要肝静脈の背側にかけて下大静脈を取り囲む領域」をdorsal sectorと捉え,肝門から主要肝静脈根部にかけて,門脈一次分枝部から中肝静脈根部を結び,下大静脈と平行な断面で左右2分した領域を,right dorsal sector,left dorsal sectorと分け,肝門より尾側の下大静脈を取り囲む領域をcaudate processとした(図2),right dorsal sectorは下大静脈の前面の領域であり,さらにb-veinから供血されるb-region,下大静脈の右側から右肝静脈根部前面の領域でc-veinから供血されるc-region,下大静脈の右背側から右肝静脈根部背側の領域でd-veinから供血されるd-regionに細分類している.このように尾状葉とdorsal sectorの概念は異なるものであり,両者の領域は完全には一致しない.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2023年10月末まで)。
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