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文献詳細

雑誌文献

臨床外科73巻11号

2018年10月発行

文献概要

増刊号 あたらしい外科局所解剖全図—ランドマークとその出し方 肝胆膵 《Special Lecture》

尾状葉門脈枝のバリエーション

著者: 益田邦洋1 中川圭1 青木修一1 海野倫明1

所属機関: 1東北大学大学院消化器外科学

ページ範囲:P.212 - P.218

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尾状葉/dorsal sectorの領域分類
 尾状葉は肝両葉および肝門の背側で,下大静脈を取り囲むように位置している.一般に肝葉切除では,切除側片側のみの切除であったり,尾状葉を切除しないことが選択される.しかし,肝門部領域胆管癌では,尾状葉胆管枝への浸潤が高率に認められ,尾状葉の切除は根治に重要とされている.
 日本では公文1,2)が,尾状葉を「門脈本幹もしくは一次分枝に支配される領域」と定義し,下大静脈部,Spiegel葉,尾状突起の3つに細分類することが一般的となった(図1).しかし,Couinaud3)は形態学的に「肝門から主要肝静脈の背側にかけて下大静脈を取り囲む領域」をdorsal sectorと捉え,肝門から主要肝静脈根部にかけて,門脈一次分枝部から中肝静脈根部を結び,下大静脈と平行な断面で左右2分した領域を,right dorsal sector,left dorsal sectorと分け,肝門より尾側の下大静脈を取り囲む領域をcaudate processとした(図2),right dorsal sectorは下大静脈の前面の領域であり,さらにb-veinから供血されるb-region,下大静脈の右側から右肝静脈根部前面の領域でc-veinから供血されるc-region,下大静脈の右背側から右肝静脈根部背側の領域でd-veinから供血されるd-regionに細分類している.このように尾状葉とdorsal sectorの概念は異なるものであり,両者の領域は完全には一致しない.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2023年10月末まで)。

参考文献

1)公文正光:肝鋳型標本とその臨床応用 尾状葉の門脈枝と胆道枝.肝臓26:1193-1199,1985
2)Kumon M:Anatomical study of the caudate lobe with special reference to portal venous and biliary branches using corrosion liver casts and clinical application. Liver Cancer 6:161-170, 2017
3)Couinaud C:Surgical anatomy of the liver revisited. Acheve Dimprimer Sur Les Presses, Paris, 1989
4)青木修一,水間正道,坂田直昭,他:Dorsal sectorにおける門脈胆管枝の走行形態をもとにした尾状葉右側境界の検討.日消外会誌50:1-8,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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