icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科73巻7号

2018年07月発行

文献概要

臨床報告

直腸癌に対する化学療法施行中に発症した感染性大動脈瘤の1例

著者: 白川賢司1 布袋裕士1 坂部龍太郎1 桒田亜希1 田原浩1 前田佳之1

所属機関: 1呉共済病院外科

ページ範囲:P.892 - P.897

文献購入ページに移動
要旨
症例は67歳,男性.多発肺転移,大動脈周囲リンパ節転移を伴う直腸癌に対してmFOLFOX6+パニツムマブ療法を施行していた.化学療法施行中に原発巣の穿通による肛門周囲膿瘍を合併したため,腹会陰式直腸切断術を施行した.術後70日目から化学療法を再開したが,10日後に発熱と腰痛が出現し当院を受診した.造影CT検査で大動脈周囲に膿瘍形成を認めた.抗菌薬治療を開始したが,入院後9日目の造影CT検査で感染性大動脈瘤の切迫破裂と診断し,ステントグラフト内挿術を施行した.化学療法によるリンパ節の腫瘍細胞壊死,膿瘍形成からの感染性大動脈瘤と考えられた.

参考文献

1)武居亮平,尾山勝信,木下 淳,他:術前化学療法中に中心静脈ポート感染から感染性大動脈瘤を生じた胃癌の1例.日臨外会誌75:2433-2437,2014
2)溝口高弘,善甫宣哉,永瀨 隆,他:感染性胸部大動脈瘤破裂・食道瘻に対するTEVARの1例.日血外会誌24:814-817,2015
3)石橋宏之,太田 敬:感染性動脈瘤.Angiol Front 9:165-168,2010
4)中村由紀子,齋藤 崇,西尾久明,他:肺炎球菌による感染性大動脈瘤の1例および文献的考察.感染症誌85:515-519,2011
5)千葉菜穂子:わが国における侵襲性肺炎球菌感染症の実態とその予防としての肺炎球菌ワクチン.日化療会誌59:561-572,2011
6)喜岡幸央,田邊 敦,栗山充仁:膀胱癌に対するBCG膀胱内注入療法に起因した感染性大動脈瘤の1例.日心臓血管外会誌41:312-315,2012
7)佐伯宗弘,柚木継二,迫田直也,他:BCG膀胱内注入療法後に発生した結核性感染性胸部大動脈瘤に対するTEVARの1例.日心臓血管外会誌46:45-48,2017
8)谷川隆彦,蓮池康徳,山田正治,他:肝動注化学療法後に発症した感染性仮性動脈瘤の1例.癌と化療36:2085-2086,2009
9)徳井俊也,小暮周平,山本直樹,他:感染性胸部仮性大動脈瘤に対して血管内治療とドレナージを併用して治癒を得た1例.日血管外会誌21:637-640,2012
10)池内雅樹,安藤 誠,久野くみ,他:急速に拡大した感染性胸部大動脈瘤に対して大動脈ステントグラフト内挿術が有効であった,進行肺癌を合併した一例.福岡医誌106:41-46,2015
11)Marumoto A, Iwata K:Rupture of an extended mycotic aneurysm of the descending thoracic aorta in a multiple myeloma patient undergoing anti-myeloma therapy. Gen Thorac Cardiovasc Surg 64:163-166, 2016
12)上野健太郎,黒澤弘二,百川文健,他:ステントグラフト内挿術で救命した膵癌術後腹部大動脈仮性瘤の1例.日臨外会誌78:942-945,2017
13)青木 淳,寒川顕治:感染性胸部下行大動脈瘤破裂に対するステントグラフト内挿術の1例.日心外会誌37:276-280,2008
14)軽部義久,井元清隆,鈴木伸一,他:感染性大動脈瘤の治療方針と成績.日血外会誌16:645-651,2007
15)岡田修一,金子達夫,江連雅彦,他:感染性胸部下行大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術.胸部外科62:96-100,2009
16)佐藤 充,永谷公一,畠山正治,他:感染性大動脈瘤に対し胸部大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)が有効であった1例.胸部外科67:579-582,2014
17)黒川早矢香,猪又孝元,小杉理恵,他:ステントグラフト内挿術が有用であった感染性大動脈瘤の1治療例.呼と循55:1169-1173,2007
18)平本明徳:感染性大動脈瘤.呼と循55:1357-1360,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?