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増刊号 すぐに使える周術期管理マニュアル Ⅲ章 術式別の術前・術中・術後管理 胃
胃切除術・胃全摘術
著者: 佐藤敏1 田中千恵1 小寺泰弘1
所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院消化器外科2
ページ範囲:P.115 - P.118
文献購入ページに移動●全身管理
入院前に外来で一般的な全身麻酔の術前検査として,胸部単純X線写真,心電図,呼吸機能検査,血算・生化学検査,凝固能検査,感染症検査を行う.また,喫煙者に対しては必ず禁煙指導を行わなければならない.術前検査で異常を認めた場合には,該当する診療科に耐術能の評価などを依頼する.同時に,特別な周術期管理が必要な併存疾患を有する場合,適切に評価および術前治療を行う.例えば,心疾患が併存する場合や脳梗塞後の場合には,当該診療科による詳細な評価や抗凝固薬(抗血栓薬)を中止した場合のヘパリン化の必要性を確認し,肺疾患を有する場合には呼吸のリハビリ,糖尿病を有する場合には適切な血糖コントロールをする.また,入院時には当該診療科との連携の確認をしておく.
また,術前にDダイマーを測定することが望ましいと考える.当院では2.5 μg/mL以上の場合には下肢血管エコー検査を行い,深部静脈血栓の有無を検索する.血栓が確認された場合には,血管外科に依頼し,周術期に抗血栓薬の投与や下大静脈(IVC)フィルターを挿入する必要性があるかどうかを確認する.
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