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増刊号 すぐに使える周術期管理マニュアル Ⅳ章 術後合併症とその管理 A 重点術後合併症の管理ポイント
術後合併症診断のアルゴリズム
著者: 小澤毅士1 大野航平1 岡田有加1 八木貴博1 福島慶久1 島田竜1 端山軍1 土屋剛史1 野澤慶次郎1 松田圭二1 橋口陽二郎1
所属機関: 1帝京大学医学部附属病院外科
ページ範囲:P.216 - P.219
文献購入ページに移動Clavien-Dindo分類で知られるPierre-Alain Clavienによると,術後合併症の定義は「Any deviation from the ideal postoperative course」であり,狭義には手術の直接的侵襲の結果生じた合併症だが,広義には手術,麻酔という侵襲により顕在化してくる全身合併症や,薬剤性障害など,“すべての理想的な術後経過からの逸脱”を含む1).このように定義する理由として,手術による“直接的”な結果がどこまで直接的かということは客観性に欠け,それぞれの外科医で判断が異なるため,すべての合併症を術後合併症に含まないと過少報告につながるため,とDaniel Dindoは報告している.実際,明らかに直接的な合併症,例えば縫合不全ですらその定義・診断が各外科医において一致しないという報告も認めるように,術後合併症診断にはどうしても術者は“こんなことは起こりえない”といった過少評価をしがちで,時に適切な判断ができないことがあることを常に肝に銘じる必要がある2).
ここでは紙面の関係上,狭義の術後合併症診断に限ってその診断のアルゴリズムを示す.術後合併症診断は大きく,単純に診断を付けることと,その重症度を診断することに分けられる.前者の診断に関して重要なことは,まず起こりうる合併症の頻度,起こりやすい時期について熟知するとともに,どのような症状・検査所見が出うるのかをしっかりと把握しておくことである.さらには,患者の術前リスクを十分に評価し,認識しておく必要があることはいうまでもない.
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