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文献詳細

雑誌文献

臨床外科74巻11号

2019年10月発行

増刊号 すぐに使える周術期管理マニュアル

Ⅳ章 術後合併症とその管理 A 重点術後合併症の管理ポイント

縫合不全(直腸癌低位前方切除術)

著者: 神藤英二1 永田健1 梶原由規1 岡本耕一1 上野秀樹1

所属機関: 1防衛医科大学校外科学講座

ページ範囲:P.225 - P.229

文献概要

症状
 低位前方切除術における吻合部の縫合不全は重大な合併症の1つであり,時に重篤化し緊急の対応を迫られる.縫合不全とは,再建腸管同士の壁連続性の破綻によって,腸管内腔が腸管外へ異常に交通した状況と定義される.吻合機器や手技に起因する場合は比較的早期の発症となる.水様性下痢などの物理的刺激が原因となることも多く,発症は排便のタイミングと一致する.血流不全や創傷治癒過程の問題で発症する場合には,術後1週間程度を経て発症することもある.一方,3週以降に発症する遅発性縫合不全は稀であり,その頻度を1.3%と報告する検討もある1)
 縫合不全の初期症状としては,発熱と腹痛が最も一般的である.ドレーンから排出される汚染された腹水,ガス,便,膿を契機に診断されることが多い.周囲臓器との間に瘻孔を形成することもあることから,創部や腟についても排出内容に注意する.肛門からの排膿も縫合不全を疑う所見である.

参考文献

1)Shin US, et al:Delayed anastomotic leakage following sphincter-preserving surgery for rectal cancer. Int J Colorectal Dis 25:843-849, 2010
2)Rahbari NN, et al:Definition and grading of anastomotic leakage following anterior resection of therectum:a proposal by the International Study Group of Rectal Cancer. Surgery 147:339-351, 2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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