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あとがき
著者: 絹笠祐介
所属機関:
ページ範囲:P.400 - P.400
文献購入ページに移動 今回の特集は,昨年4月に多くの術式が保険適用になったロボット手術についてでした.私とロボット手術との出会いは,10年前の2009年でした.当時大腸癌領域では世界一と言われていた韓国の大学に,講演で呼ばれた際,実際に見せていただいた時です.当時のロボット手術はまだまだマイナーで,かつ逆風も目に余るものがある状況での見学でした.当然エビデンスもなく,実際に目の当たりにした手術も,長時間を要し,決して上手な手術ではありませんでした.これでは皆が批判的になるのも仕方がないというのが素直な感想でした.ただ,衝撃を受けたのは手術ではなく,その手元の動きと鉗子の動きでした.まさにintuitive motionで,これは必ず実際の手術に,患者に役に立てることができると思えたことが,今に継ったとしみじみ思っています.時期を同じくして,前職場にて診療科を統括できる立場になったので,院長に直談判をし,病院に導入してもらいました.震災等があり予定は遅れたものの,病院幹部の理解と,コメディカルも含めた良きチームに恵まれ,当時としては非常にスムースな導入が出来ました.
社会的な問題,技術的な問題,人の問題等々,新しい治療を始めるのは大変なことです.特に外科手術に関して,抗がん剤のようなエビデンスを求めるのは不可能です.エビデンスを求められる厳しい時代に誕生したロボット手術ですが,今後の発展性も考慮すると,間違いなく手術の主役になり得る分野です.一方で,これまでの手術に満足してしまった可哀想な外科医にとっては,無用の長物でもあります.ロボットの機能を如何に患者に提供していくかが,今後問われる外科医の資質ではないかとも思っています.
社会的な問題,技術的な問題,人の問題等々,新しい治療を始めるのは大変なことです.特に外科手術に関して,抗がん剤のようなエビデンスを求めるのは不可能です.エビデンスを求められる厳しい時代に誕生したロボット手術ですが,今後の発展性も考慮すると,間違いなく手術の主役になり得る分野です.一方で,これまでの手術に満足してしまった可哀想な外科医にとっては,無用の長物でもあります.ロボットの機能を如何に患者に提供していくかが,今後問われる外科医の資質ではないかとも思っています.
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