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ちょっとわかりにくい「非劣性試験」の読み解き方
著者: 水澤純基12
所属機関: 1国立研究開発法人 国立がん研究センター中央病院臨床研究支援部門 2国立研究開発法人 国立がん研究センターJCOGデータセンター
ページ範囲:P.630 - P.633
文献購入ページに移動一般に,新たな標準治療を決めるための検証的第Ⅲ相試験のデザインは,試験治療と試験計画時の最善の治療法(標準治療)を比較するランダム化比較試験である.ランダム化比較試験のうち,試験治療が腹腔鏡下切除術のように標準治療に対してリスクが低い場合に,primary endpoint(通常,周術期のがんを対象とした臨床試験であれば,全生存期間や無再発生存期間などの有効性のエンドポイントを設定する)で一定以上劣っていないことを示すことを目的とした試験を“非劣性試験”という.非劣性試験は,そもそもどのようになったらpositive試験と言ってよいのかがわかりにくく,また得られたKaplan-Meier曲線の印象から得られる臨床的解釈と統計的解釈が乖離することもあり,わかりにくいという声を耳にすることも多い.
そこで本稿では,筆者が関わった日本臨床腫瘍研究グループ(Japan Clinical Oncology Group:JCOG)で行われた,がんを対象とした外科手術手技に関するランダム化比較非劣性試験を例にして,得られた結果からどのような結論・解釈を導くことができるのか順に説明する.
なお,本稿では必要な仮説検定や生存時間解析の知識を適宜補うものの,それらの詳細はICRweb〔www.icrweb.jp〕などを適宜参照されたい.
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