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Reduced Port Surgery—制限克服のための達人からの提言・17
単孔式腹腔鏡下胃全摘術—T吻合による食道空腸吻合
著者: 大森健1 山本和義1 新野直樹1 矢野雅彦1
所属機関: 1大阪国際がんセンター消化器外科
ページ範囲:P.634 - P.639
文献購入ページに移動近年の光学機器や技術の進歩により,胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術は広く普及してきている.比較的難易度の高い上部胃癌に対する腹腔鏡下胃全摘術も手技の定型化により,多くの施設で行われるようになった.
定型化された腹腔鏡下胃切除術は5〜6か所のポートを用いて行われるが,最近のトレンドの1つとして,ポート数やポート径を減らすことでさらなる低侵襲性を目指したreduced port surgeryが挙げられる.なかでも単孔式腹腔鏡下手術(SPS)は,たった1つの臍部創から行うことで,痛みの軽減,優れた整容性をもつ究極のreduced port surgeryとされている.
単孔式腹腔鏡下胃切除術は,大森ら1)により世界で初めて2009年に行われ,単孔式腹腔鏡下幽門側胃切除に関して,多孔式とのretrospective比較試験において,術後疼痛の軽減,合併症率の改善,術後炎症反応の軽減,術後在院日数の短縮などでより低侵襲性が示されている2).また,進行胃癌に対する長期予後に関しても同等であるとの報告もなされており3),胃癌に対する低侵襲手術として期待度が高いと考えられる.
しかしながら,単孔式腹腔鏡下胃切除は,操作機器数の制限,機器の干渉,視野制限などにより,きわめて難易度が高い.そこでわれわれは,機器の干渉を可及的少なく解消するために,郭清手技のパートごとにカメラ,操作鉗子,エネルギーデバイス,助手の鉗子の配置を設定し,定型化している4).吻合法に関しては,われわれが考案したEST法や新三角吻合5,6)を応用した吻合を行っている.
今回,われわれが行っている単孔式腹腔鏡下胃全摘術の郭清手技,Roux-en Y再建の手技のコツについて述べたい.
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