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文献詳細

雑誌文献

臨床外科74巻5号

2019年05月発行

文献概要

臨床報告

腹部大動脈ステントグラフト留置術後遠隔期の胃穿孔によるショックに伴った左側結腸壊死の1例

著者: 丹羽真佐夫1 林昌俊1 栃井航也1 高橋啓1 川村紘三1

所属機関: 1岐阜赤十字病院外科

ページ範囲:P.641 - P.644

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要旨
症例は78歳の男性.約2年半前に腹部大動脈瘤に対して他院で腹部大動脈ステント留置術(endovascular aneurysm repair:EVAR)の既往があった.当院消化器内科で下痢・多発肝腫瘍の精査入院中に多発出血性胃潰瘍を併発した.連日止血術を施行されたが,2日後に腹痛・発熱が出現し,胃潰瘍穿孔の診断で外科転科し同日緊急手術を施行した.胃体下部小彎前壁に約1 cm大の穿孔部を認めた.また下行結腸からS状結腸まで壊死を認めたため幽門側胃切除術と結腸左半切除術を施行した.EVAR後に下腸間膜動脈の閉塞が生じ,血流の予備能が低かった左側結腸が,胃穿孔によるショックで壊死に陥ったと推察された.

参考文献

1)日本循環器学会,他:大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン(2011年改訂版).循環器病の診断と治療に関するガイドライン(2010年度合同研究班報告)(班長:髙本眞一)
2)玉井皓己,水島恒和,阪本朋彦:胸部大動脈ステントグラフト虚脱後に生じた狭窄型虚血性小腸炎の1例.外科78:89-93,2016
3)Perry RJ, Martin MJ, Eckert MJ, et al:Colonic ischemia complicating open vs endovascular abdominal aortic aneurysm repair. J Vasc Surg 48:272-277, 2008
4)松崎賢司,瀧上 剛,松浦弘司,他:腹部大動脈ステントグラフト留置術後に結腸切除を要する虚血性腸炎をきたした1例.外科76:1653-1655,2014
5)長瀬勇人,諸橋 一,矢口慎也,他:腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術後に発症したNOMIの1例.日臨外会誌75:45-49,2014
6)古山 正,大野智和,小野原俊博:EVAR術後に微小塞栓症による腸管虚血をきたした1例.日心臓血管外会誌44:165-169,2015
7)Nakajima T, Sato M, Imai A, et al:A case of intestinal necrosis after bilateral internal iliac artery-preserving endovascular repair for abdominal aortic aneurysm. Ann Vascul Dis 9:240-243, 2016
8)井上秀範,赤坂純逸,岩堀晃也:横行結腸切除術後の腹部大動脈瘤に対してステントグラフト内挿術を行い,術後腸管虚血をきたした1例.日心臓血管外会誌26:185-188,2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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