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臨床報告
腹部大動脈ステントグラフト留置術後遠隔期の胃穿孔によるショックに伴った左側結腸壊死の1例
著者: 丹羽真佐夫1 林昌俊1 栃井航也1 高橋啓1 川村紘三1
所属機関: 1岐阜赤十字病院外科
ページ範囲:P.641 - P.644
文献購入ページに移動症例は78歳の男性.約2年半前に腹部大動脈瘤に対して他院で腹部大動脈ステント留置術(endovascular aneurysm repair:EVAR)の既往があった.当院消化器内科で下痢・多発肝腫瘍の精査入院中に多発出血性胃潰瘍を併発した.連日止血術を施行されたが,2日後に腹痛・発熱が出現し,胃潰瘍穿孔の診断で外科転科し同日緊急手術を施行した.胃体下部小彎前壁に約1 cm大の穿孔部を認めた.また下行結腸からS状結腸まで壊死を認めたため幽門側胃切除術と結腸左半切除術を施行した.EVAR後に下腸間膜動脈の閉塞が生じ,血流の予備能が低かった左側結腸が,胃穿孔によるショックで壊死に陥ったと推察された.
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