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増刊号 早わかり縫合・吻合のすべて 3章 損傷・外傷に役立つ縫合
腸管損傷時の縫合
著者: 碓井彰大1 小杉千弘1 首藤潔彦1 細川勇1 野島広之1 村上崇1 與儀憲和1 芦澤陽介1 山崎将人1 清水宏明1 幸田圭史1
所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター外科
ページ範囲:P.68 - P.72
文献購入ページに移動外科医が臨床の場面で腸管損傷を診ることはよくある.例えば,腹部外傷や待機的手術の際の術中合併症として経験する.手術時の腸管損傷は常に起こりえる合併症であり,これを放置すると術後に腸管穿孔,腹膜炎を起こし重篤化する可能性もあるため,手術終了時には損傷の有無についての確認を徹底的に行う必要がある.もし腸管損傷を確認したときは,損傷の程度を判断し,適切に対処する必要がある.
実際にどのような縫合・吻合が必要になるのか,損傷の程度に沿って考えてみたい.漿膜から筋層までの損傷の場合には,漿膜筋層縫合で修復する.通常は吸収糸のモノフィラメントを使用するが,組織が浮腫状の場合は結紮時に組織が容易に切れやすくなっているため,吸収糸のブレイドを使うこともある.組織の状態に応じて使う糸を選択することが大事である(表1)1).修復する際に気を付けることは縫合する方向であり,縫合した後に腸管狭窄をきたさないように腸管の長軸方向に運針することが基本である.また,縫合を行うと腸管が屈曲してしまい狭窄形成が危惧されるため,広い範囲の腸管損傷の場合は,腸管部分切除を考慮する.
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