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文献詳細

雑誌文献

臨床外科75巻5号

2020年05月発行

文献概要

FOCUS

軟性内視鏡とロボット技術を融合した手術支援システム

著者: 和田則仁1 北川雄光1

所属機関: 1慶應義塾大学医学部外科学(一般・消化器)

ページ範囲:P.586 - P.590

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はじめに
 世界の医療機器の市場は拡大している.しかしながら,厚生労働省の薬事工業生産動態統計調査1)によれば,わが国の医療機器の貿易収支は輸入超過であり,その額は年々増加している(図1).診断系の医療機器はかろうじて黒字であるが,治療系医療機器においては顕著な輸入超過となっている.高齢化社会を迎え増大する医療費の多くを輸入品に依存する状況は好ましいとはいえず,国際競争力の高い国産医療機器の創出はわが国にとって急務といえる.
 医療機器のなかで,手術ロボットの市場は爆発的に増大している(図2)2).代表的な手術支援ロボットのダビンチサージカルシステム(dVSS)の手術件数も増加しており(図3)3),特に一般・消化器外科の増加が顕著である.現在の開胸・開腹・内視鏡外科手術が,今後ロボット支援手術に置換されていく傾向は確実といえる.わが国においても保険適用の拡大により,今後さらなる普及が期待されている.Intuitive Surgical社の有する手術支援ロボットの主要な特許が切れていくことから,今後dVSS以外の手術支援ロボットが相次いで上市されるとされる4).これまで寡占状態にあった手術ロボットの市場に競争がもたらされることから,普及に弾みがつくと考えられる.

参考文献

1)厚生労働省ウェブサイト〔https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/105-1c.html〕(アクセス日:2019.11.10)
2)Grand View Research, Inc. 発行レポート.手術ロボット市場:市場規模・アプリケーション分析・競合戦略・予測.Grand View Research社ウェブサイト〔https://www.grandviewresearch.com/industry-analysis/surgical-robot-market〕(アクセス日:2019.11.10)
3)Intuitive Surgical Investor Presentation Q4 2018. Intuitive Surgical社ウェブサイト〔https://www.intuitive.com/〕(アクセス日:2018.12.7)
4)和田則仁,北川雄光:手術支援ロボット・マニピュレータの研究開発動向.日コンピュータ外会誌21:135-136,2019
5)Yahagi N, Kato M, Ochiai Y, et al:Outcomes of endoscopic resection for superficial duodenal epithelial neoplasia. Gastrointest Endosc 88:676-682, 2018
6)Inoue H, Sato H, Ikeda H, et al:Per-Oral Endoscopic Myotomy:A Series of 500 Patients. J Am Coll Surg 221:256-264, 2015

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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