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文献詳細

雑誌文献

臨床外科75巻6号

2020年06月発行

臨床報告

一期的腹腔鏡下ヘルニア修復術を施行したde Garengeot herniaの1例

著者: 佐藤宏彦1 石川大地1 豊田剛1 鷹村和人1 三浦連人1

所属機関: 1徳島県厚生農業協同組合連合会吉野川医療センター外科

ページ範囲:P.751 - P.754

文献概要

要旨
症例は80歳,女性.右鼠径部の膨隆を自覚し,当院を受診した.右鼠径部に5 cm大の弾性軟の腫瘤を認めた.腹部・骨盤部単純CT検査で右大腿ヘルニアを認め,内容物は虫垂であり,de Garengeot herniaと診断し,緊急手術とした.腹腔鏡下に観察したところ,右大腿輪に虫垂先端が嵌頓していた.嵌頓を解除すると虫垂先端に軽度の発赤を認めるのみであり,transabdominal preperitoneal repair(TAPP)法を施行後,臍部から虫垂を創外に引き出し虫垂切除を行った.病理所見ではカタル性虫垂炎と診断された.術後26か月の現在,再発・感染なく経過している.穿孔・膿瘍形成のないde Garengeot herniaに一期的TAPP法は有用である.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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