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あとがき
著者: 瀬戸泰之
所属機関:
ページ範囲:P.894 - P.894
文献購入ページに移動 今月号は「緊急手術」をテーマとしている.筆者は外科医になってすでに35年が経っているが,若いころの「緊急手術」のことが忘れられない.今では,おそらく考えられないことであると思うが,卒後7,8年目のころの外勤先(バイト)で,10歳くらいの男の子のアッペを自分一人で腰椎麻酔をかけ,看護師さんを前立ちにして外科医一人で行ったことがある.幸い,術後経過は良好であったが,その時の緊張感は「半端」なかった.また,当直先のバイト病院で,夜間急性膵炎の緊急手術(洗浄ドレナージ)を行った時には,先輩に電話をして何度も指示を仰いだことも忘れられない.「定時手術」と異なり,予習も事前準備もほとんどない状況で,自ら診断し,自ら行わなくてはならない.流石に,現在,外科医が一人で手術を行う場面は少なくなっていると思うが,外科医を志した以上は,「その時」を覚悟しなくてはならない.本誌は「その時」のためにある.取り上げられている緊急疾患は,すべて日常で経験するものばかりであり,ぜひ一読しておいてほしい.そして,いざという時に思い出してもらい,短い時間で読み直し手術に臨んでもらえるような「座右の書」になれば,望外の喜びである.
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