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文献詳細

雑誌文献

臨床外科75巻8号

2020年08月発行

臨床報告

保存的に治療した門脈ガス血症を伴う食餌性イレウスの1例

著者: 山村みつ江1 村山健二1 岡田嶺2 鈴木孝之1 長谷部行健2

所属機関: 1汐田総合病院外科 2東邦大学医療センター大森病院一般消化器外科

ページ範囲:P.1000 - P.1004

文献概要

要旨
症例は80歳,男性.夕食後に上腹部痛,嘔吐を発症し,当院救急外来を受診した.バイタルは正常.腹部は平坦かつ軟で,上腹部を中心に軽度圧痛を認めたが腹膜刺激症状はなく,CT所見から食餌性イレウスによる門脈ガス血症と診断した.バイタルが安定しており,腹部所見に乏しかったため,オクトレチオドを併用し保存的に治療することとした.症状は改善し16日目に退院となった.食餌性イレウスはイレウス全体の0.3〜3%とされ,さらに食餌性イレウスに門脈ガス血症を伴う症例は極めて稀である.本症例は稀なだけでなく,食餌性イレウスに対してオクトレオチドが有効であった可能性があるため報告する.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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