文献詳細
増刊号 Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版—特別付録Web動画
1.食道
文献概要
Step1 麻酔および手術体位とポート挿入
麻酔導入および気管内挿管はストレッチャー上で行う.通常のシングルルーメンチューブを挿管後,手術台へ移動して腹臥位とする.その際,マジックベッドを用いて約45度の左半腹臥位で患者を固定し,手術台のローテーションによりほぼ完全腹臥位とする.上肢は右側のみ挙上して固定する.その際,術後の肩痛を予防するため,肩関節の屈曲は120度以内,外転は135度以内,さらに肘関節の屈曲は30度以内として上腕よりも前腕を下げて固定している.また,術野確保のためクッションを右鎖骨下窩〜右大胸筋部に入れ,肩甲骨が腹側に落ち込まないようにしている(図1a,b).
われわれは6ポートにて手術を行っている.術者用のポートを第5,7肋間後腋窩線に挿入するが,鉗子やデバイスの可動性向上および操作安定性を重視し,5 mmポートとしている.第3肋間中腋窩線と第8肋間中腋窩線やや前方に助手用の12 mmポートを挿入し,第9肋間肩甲下角線に胸腔鏡用の12 mmポートを挿入する.さらに,第6肋間肩甲下角線にガーゼなど出し入れのために12 mmポートを挿入する(図1c,d).手術中の麻酔は気管支ブロッカーを用いた分離肺換気で行っており,炭酸ガスによる6〜10 mmHgの人工気胸も併用している.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
麻酔導入および気管内挿管はストレッチャー上で行う.通常のシングルルーメンチューブを挿管後,手術台へ移動して腹臥位とする.その際,マジックベッドを用いて約45度の左半腹臥位で患者を固定し,手術台のローテーションによりほぼ完全腹臥位とする.上肢は右側のみ挙上して固定する.その際,術後の肩痛を予防するため,肩関節の屈曲は120度以内,外転は135度以内,さらに肘関節の屈曲は30度以内として上腕よりも前腕を下げて固定している.また,術野確保のためクッションを右鎖骨下窩〜右大胸筋部に入れ,肩甲骨が腹側に落ち込まないようにしている(図1a,b).
われわれは6ポートにて手術を行っている.術者用のポートを第5,7肋間後腋窩線に挿入するが,鉗子やデバイスの可動性向上および操作安定性を重視し,5 mmポートとしている.第3肋間中腋窩線と第8肋間中腋窩線やや前方に助手用の12 mmポートを挿入し,第9肋間肩甲下角線に胸腔鏡用の12 mmポートを挿入する.さらに,第6肋間肩甲下角線にガーゼなど出し入れのために12 mmポートを挿入する(図1c,d).手術中の麻酔は気管支ブロッカーを用いた分離肺換気で行っており,炭酸ガスによる6〜10 mmHgの人工気胸も併用している.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
参考文献
1)Shirakawa Y, Noma K, Maeda N, et al:Assistant-based standardization of prone position thoracoscopic esophagectomy. Acta Med Okayama 68:111-117, 2014
2)Shirakawa Y, Noma K, Maeda N, et al:Microanatomy-based standardization of left upper mediastinal lymph node dissection in thoracoscopic esophagectomy in the prone position. Surg Endosc 35:349-357, 2021
3)Shirakawa Y, Noma K, Maeda N, et al:Standardization of bilateral upper mediastinal lymph node dissection using microanatomical concepts in minimally invasive esophagectomy. MIS 4:33, 2020
掲載誌情報