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増刊号 Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版—特別付録Web動画 4.大腸
結腸癌—腹腔鏡下S状結腸切除術
著者: 塚本俊輔1 高見澤康之1 森谷弘乃介1 今泉潤1 金光幸秀1
所属機関: 1国立がん研究センター中央病院大腸外科
ページ範囲:P.100 - P.103
文献購入ページに移動術者とスコピストは患者右側に立ち,5ポートで手術を開始する(図1).助手は患者左側に立ってマタドールのように腸間膜を展開しても,患者の脚間に立って左下腹部ポートからバブコック鉗子などを用いて,IMAの血管茎を把持挙上してもよい.どちらの方法においても,結腸間膜を腹側に挙上して結腸間膜右側と後腹膜の境界のくぼみを明らかにして,くぼみに沿って腹膜を切開して後腹膜と結腸間膜の剝離を進めることがポイントとなる.
術者は,左手鉗子を使って結腸間膜を後腹膜側から持ち上げるようにすると,剝離層は疎な結合組織の層として認識できる.また,結腸間膜と後腹膜の脂肪は色調が異なり区別ができるため,結腸間膜脂肪を取り残さないようにして授動を進める.正しい剝離層を取れば出血することは少ない.しかし,内側アプローチの際には後腹膜側に迷入しやすいため,まずは光沢のある結腸間膜の背側を確認し,その後は常に結腸間膜を意識しながら患者左側へ剝離を進めると正しい剝離層をたどることができる(図2).結腸間膜を破らないように剝離を進めると,自然と腰内臓神経の本幹が後腹膜側に温存されることになり,神経損傷を防ぐことができる.正しい剝離層で手術を進めていることが明らかであれば,この時点で尿管や性腺血管を確認することは必須ではない.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
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