文献詳細
増刊号 Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版—特別付録Web動画
6.肝臓
肝前区域切除術
著者: 藤本康弘1 波多野悦朗12 奥野将之1 岩間英明1 河端悠介1 飯田健二郎1 栗本亜美1 鳥口寛1 岡本共弘1 末岡英明1 多田正晴1 中村育夫1
所属機関: 1兵庫医科大学肝胆膵外科 2京都大学肝胆膵・移植外科
ページ範囲:P.197 - P.202
文献概要
患者は仰臥位とし,右側は右肋弓下切開に備え,左側は左手を麻酔管理に使用できるよう両手開きとする.逆T字切開にて開腹する(図1a).その際,正中頭側では剣状突起起始部を超えて頭側まで皮膚切開を置き,また剣状突起両側に付着している筋肉を切離することで開創は良好となる(図1b).後の肝脱転の際や閉創時に邪魔になるようであれば,剣状突起を切除する.横切開は,右は肋弓下から2横指以上離れて中腋窩線レベルまで(延長する場合,背中側ないしは足側に伸ばしても無効であり,頭側に切り上げる)(図1a破線,図1c),左は腹直筋左縁まで切開する.右葉授動のためにも十分な開創が必要であるが,正中頭側の皮膚切開,剣状突起に付着する筋肉,そして横切開右端の頭側への切り上げがポイントとなる.肝円索は結紮切離し,肝臓側は牽引できるように糸を残しておく.腹水,特発性細菌性腹膜炎(SBP),播種性転移の有無につき視触診を行う.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
参考文献
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