icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科76巻11号

2021年10月発行

増刊号 Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版—特別付録Web動画

6.肝臓

肝後区域切除術

著者: 板野理1 皆川卓也1 星本相淳1 篠田昌宏1

所属機関: 1国際医療福祉大学医学部消化器外科

ページ範囲:P.204 - P.209

文献概要

Step1 術前シミュレーション
 術前に解剖把握および肝切除のシミュレーションを行うことは,安全な手術を完遂するために必須である.特に,シミュレーションソフトの活用は,直感的かつ視覚的に判断しやすく非常に有用である.肝後区域切除の術前シミュレーションのポイントは,残肝容積および残肝機能の評価のほかに,①肝門部の解剖の把握と②肝離断面のメルクマールの確認の2点に集約される.前者では,肝動脈,門脈,胆管の走行や解剖破格の有無を確認(図1a)し,実際に手術を行った場合にどの位置でグリソン,もしくはそれぞれの脈管を処理すべきかという点を検討する.後者では,解剖学的肝区域境界となるintersegmental planeにはintersegmental veinが走行しているため,どの段階で肝離断面に右肝静脈が出現するか,どの地点でV6やV7を切離するか(図1b)を確認しておく.
 本術式のおもな適応疾患は,原発性および転移性肝癌であるが,生体肝移植ドナー手術として行われることもある.本術式は基本手技の組み合わせで構成されるが,肝離断面が広く,確実な止血技術が求められる.また,疾患によって肝門部脈管処理や肝静脈の取り扱いが異なる場合がある.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら