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増刊号 Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版—特別付録Web動画 7.胆・膵
肝門部胆管癌に対する尾状葉切除を伴う肝拡大左葉切除術+胆管切除再建
著者: 貞森裕1 日置勝義1 門田一晃1 高倉範尚1
所属機関: 1福山市民病院外科
ページ範囲:P.239 - P.248
文献購入ページに移動上腹部正中切開で開腹し,腹膜播種や肝転移などの非治癒因子がないことを確認する.まずKocherの授動術を行い,下大静脈前面を左腎静脈根部まで広範に露出しておく.肝十二指腸間膜尾側前面の漿膜を十二指腸下行脚から球部に向けて切開し,十二指腸壁からの小静脈枝を数本切離する(図1a).次いで,膵頭部組織と前上膵十二指腸動脈を確認しながら損傷しないように露出し,No. 13リンパ節とその周囲脂肪織を鑷子で牽引して剝離していく.膵頭部組織の輪郭が確認できた時点で,肝十二指腸間膜尾側背面の漿膜を門脈本幹の背側に向けて切開する.背側の膵頭部組織を露出しながら,No. 13リンパ節とその周囲脂肪織の郭清を左側に進めていくと,膵上縁の総胆管右側壁に到達できる.さらに前上膵十二指腸動脈を胃十二指腸動脈根部に向けて剝離・露出していくと,その背側右側に膵上縁の総胆管左側壁を視認できるようになる(図1b).同部で総胆管をテーピングした後に離断し,内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)あるいは内視鏡的経鼻胆管ドレナージ(ENBD)を留置してある場合には,胆管ステントを抜去する.肝側胆管には胆汁ドレナージチューブを留置し,切離断端は術中迅速病理検査に提出する.
このステップでのポイントは,①膵頭部組織が腹側から背側に向けて彎曲していることを意識して郭清操作を進めること,②膵頭部組織や総胆管周囲の小静脈分枝からできる限り出血させないこと,③肝十二指腸間膜尾側背面の漿膜を膵頭部組織の輪郭が確認できた時点で早めに切開すること,である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
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