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「胆道癌取扱い規約 第7版」改訂のポイント
著者: 佐野圭二1
所属機関: 1帝京大学医学部外科学講座
ページ範囲:P.1554 - P.1557
文献購入ページに移動はじめに—胆道癌取扱い規約の歴史
2021年3月に胆道癌取扱い規約(以後,当規約)が7年4か月ぶりに改訂された1).今回が第7版とその改訂が重ねられてきたが,第1版は今からさかのぼること約40年前,1981年4月に出版された.その後,第2版(1986年4月),第3版(1993年1月),第4版(1997年9月),第5版(2003年9月)と改訂が行われ,前回の第6版改訂は2013年11月であった.
各改訂作業は,わが国の胆管癌の罹患数の多さに加えてすぐれた胆道外科医・病理医の情熱により,緻密な手術と病理診断,そして全国的な胆道癌登録による予後調査を基として日本独自に行われてきた.病理診断の細分化,複雑化が進むにつれ,実用性と汎用性を重んじるUICC(Unio Internationalis Contra Cancrum)のTNM分類との乖離が進み,わが国の胆道癌の優れた治療成績にもかかわらず国際舞台での発言力が弱まってしまった.そこで前回の当規約第6版2)では,それまでの日本独自の規約を定めていた当規約から,UICC第7版3)にほぼ準拠し,肝外胆管の区分,局所進展度,リンパ節転移,進行度分類,根治度評価などを分類したことで大きく変化した.
2021年3月に胆道癌取扱い規約(以後,当規約)が7年4か月ぶりに改訂された1).今回が第7版とその改訂が重ねられてきたが,第1版は今からさかのぼること約40年前,1981年4月に出版された.その後,第2版(1986年4月),第3版(1993年1月),第4版(1997年9月),第5版(2003年9月)と改訂が行われ,前回の第6版改訂は2013年11月であった.
各改訂作業は,わが国の胆管癌の罹患数の多さに加えてすぐれた胆道外科医・病理医の情熱により,緻密な手術と病理診断,そして全国的な胆道癌登録による予後調査を基として日本独自に行われてきた.病理診断の細分化,複雑化が進むにつれ,実用性と汎用性を重んじるUICC(Unio Internationalis Contra Cancrum)のTNM分類との乖離が進み,わが国の胆道癌の優れた治療成績にもかかわらず国際舞台での発言力が弱まってしまった.そこで前回の当規約第6版2)では,それまでの日本独自の規約を定めていた当規約から,UICC第7版3)にほぼ準拠し,肝外胆管の区分,局所進展度,リンパ節転移,進行度分類,根治度評価などを分類したことで大きく変化した.
参考文献
1)日本肝胆膵外科学会(編);臨床・病理 胆道癌取扱い規約 第7版,金原出版,2021
2)日本肝胆膵外科学会(編);臨床・病理 胆道癌取扱い規約 第6版,金原出版,2013
3)Sobin L, Gospodarowicz MK, Wittekind C, et al:TNM classification of malignant tumours, 7th edition. Wiley Blackwell, Oxford, 2010
4)Brierley JD, Gospodarowicz MK, Wittekind C, et al:TNM classification of malignant tumours, 8th edition. Wiley Blackwell, Oxford, 2017
5)WHO Classification of Tumours(Digestive System Tumours), 5th edition. World Health Organization, 2019
6)日本癌治療学会・日本病理学会(編);領域横断的がん取扱い規約 第1版,金原出版,2019
7)日本病理学会(編);ゲノム研究用・診療用病理組織検体取扱い規程.羊土社,2019
8)佐野圭二:胆道癌取扱い規約第7版改訂と胆道の上皮内腫瘍.胆と膵42:497-499,2021
9)Hong SM, Cho H, Moskaluk CA, et al:Measurement of the invasion depth of extrahepatic bile duct carcinoma:an alternative method overcoming the current T classification problems of the AJCC staging system. Am J Surg Pathol 31:199-206, 2007
10)Aoyama H, Ebata T, Hattori M, et al:Reappraisal of classification of distal cholangiocarcinoma based on tumor depth. Br J Surg 105:865-875, 2018
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