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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科76巻3号

2021年03月発行

雑誌目次

特集 ロボット膵切除の導入ガイド—先行施設にノウハウを学ぶ

ページ範囲:P.271 - P.271

 2020年4月の診療報酬改定で,ロボット支援下膵切除が保険収載された.肝胆膵外科領域ではロボット支援下手術の経験がまったくないグループが大多数のため,導入に当たって必要な基本情報をはじめ,保険・学会規約,手術手技の解説などを網羅する特集を企画した.なお本誌では2019年3月号(74巻3号)で「これからはじめるロボット手術」を特集している.その際は消化器外科領域でロボット手術を導入しようと計画している外科医や手術スタッフに向けて企画した.今回の特集でも,総論では「特に膵切除にロボット手術を導入する場合にどのような準備が必要であるか」という切り口から執筆いただいた.また各論では,プロクターとして指導にあたっておられる先生に,自施設での手技の実際を詳細に解説いただいた.本特集を導入ガイドとして活用いただければ幸いである.

総論

ロボット支援下膵切除術の現状と未来

著者: 仲田興平 ,   中村雅史

ページ範囲:P.272 - P.276

【ポイント】
◆ロボット支援下膵体尾部切除術は,開腹,腹腔鏡手術と比較して周術期成績は良好もしくは同等である.
◆ロボット支援下膵体尾部切除術の開腹移行率は腹腔鏡手術と比較して低い.
◆ロボット支援下膵頭十二指腸切除術は,開腹,腹腔鏡手術と比較して周術期成績は良好もしくは同等である.
◆ロボット支援下膵切除術は,ラーニングカーブ,コストなどの克服すべき点もあるが,今後増加していくと思われる.

保険診療上のルールと学会指針—院内手続きを含めて

著者: 赤星径一 ,   石田啓之 ,   石川喜也 ,   上田浩樹 ,   小川康介 ,   小野宏晃 ,   工藤篤 ,   田中真二 ,   田邉稔

ページ範囲:P.278 - P.281

【ポイント】
◆ロボット膵切除の施設基準と学会指針の遵守が必須となる.
◆指針に従って順を追ってトレーニングを進めることで安全な導入が可能となる.
◆麻酔科,看護師,臨床工学技士など他職種と綿密な連携をとって手術チームを構築する必要がある.

ロボット支援下膵切除術の導入—手術室看護師の準備

著者: 河野易子 ,   池永直樹 ,   仲田興平 ,   一法師久美子 ,   中村雅史

ページ範囲:P.282 - P.285

【ポイント】
◆ロボット支援下膵切除術の導入・円滑な手術を実施するには,多職種による事前検討やシミュレーションが重要である.
◆癒着や出血に備え,ロボット支援下から腹腔鏡手術,開腹術へ迅速移行できるように,器材・物品を事前に準備しておく必要がある.
◆ロボット支援下膵切除術に対応する看護師は,腹腔鏡手術や開腹術に迅速に対応でき,専門的知識や技術が必要である.

ロボット支援下膵切除術の導入—臨床工学技士の準備

著者: 山内章弘

ページ範囲:P.286 - P.291

【ポイント】
◆新しい術式導入時には医師,麻酔科医,看護師,臨床工学技士による現場でのシミュレーションが重要である.
◆他の術式も考慮し可能な限り同一の運用を検討する.
◆当院ではロボット膵切除は,胃切除とほぼ同じ内容で行っている.超音波診断装置のみ追加になる.

ロボット支援下膵切除術の導入—麻酔科の準備

著者: 石田裕介 ,   永川裕一 ,   内野博之

ページ範囲:P.292 - P.296

【ポイント】
◆気腹や逆トレンデレンブルグ体位のため血圧低下が起きやすく,場合によっては昇圧薬の持続投与も考慮する.
◆長時間になることもあるため,最適の輸液管理を心掛け,尿量の維持に努める.
◆手術を円滑に進めるために術前にカンファレンス・シミュレーションを行っておく必要がある.

膵切除導入時に知っておくべきda Vinci Surgical Systemの特徴と欠点

著者: 木口剛造 ,   宇山一朗 ,   内田雄一郎 ,   吉川潤一 ,   小島正之 ,   棚橋義直 ,   高原武志 ,   安田顕 ,   加藤悠太郎 ,   杉岡篤

ページ範囲:P.297 - P.302

【ポイント】
◆ロボットのセッティング・ポート配置には体外でのアームの干渉を防止する配置が重要である.
◆ロボット支援手術では,腹腔鏡手術より使用可能な鉗子が1本少ないことを念頭に置く必要がある.
◆ロボット膵切除には周囲臓器と鉗子のシャフトの干渉を起こさない操作手順・ポート配置が必須である.

各論:ロボット支援下膵頭十二指腸切除術

導入に際する注意点

著者: 森泰寿 ,   大塚隆生 ,   仲田興平 ,   井手野昇 ,   池永直樹 ,   岡部安博 ,   中村雅史

ページ範囲:P.304 - P.309

【ポイント】
◆ロボット支援下膵頭十二指腸切除術では,多関節鉗子などを用いることにより開腹手術に近い感覚で鏡視下手術を行うことができる.
◆導入するにあたっては,体位,ポート位置,成熟したチーム形成が重要である.
◆様々な場面で適切な鉗子やエネルギーデバイスを選択することが重要である.

東京医科大学方式

著者: 永川裕一 ,   小薗真吾 ,   瀧下智恵 ,   刑部弘哲 ,   中川直哉 ,   西野仁惠 ,   鈴木健太 ,   山田衣里佳 ,   髙野祐樹 ,   本多正幸 ,   勝又健次 ,   土田明彦

ページ範囲:P.310 - P.323

【ポイント】
◆開腹や腹腔鏡下手術とは異なるロボット手術の特性を生かした手術方法を確立した.
◆切除可能膵癌に対し,ロボット手術にてより認識可能となる神経・線維組織構造に基づく手術を定型化している(NFT- based resection).

上尾中央総合病院方式

著者: 三島江平 ,   五十嵐一晴 ,   尾崎貴洋 ,   峯田章 ,   若林剛

ページ範囲:P.325 - P.333

【ポイント】
◆ロボット支援下膵頭十二指腸切除(RDP)では,拡大視効果,多関節鉗子を利用した精緻な手術を行うことが可能である.
◆症例数増加に伴い,手術手技が定型化され,手術時間,出血量ともに安定した.
◆詳細な術前解剖の把握とともに,術者,助手が共通認識をもち術中のコミュニケーションをよくすることが本術式の鍵となる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年3月末まで)。

各論:ロボット支援下膵体尾部切除術

導入に際する注意点

著者: 高屋敷吏 ,   吉富秀幸 ,   古川勝規 ,   久保木知 ,   高野重紹 ,   鈴木大亮 ,   酒井望 ,   賀川真吾 ,   細川勇 ,   三島敬 ,   大塚将之

ページ範囲:P.334 - P.338

【ポイント】
◆当施設では2012年より準備を開始し,2013年から臨床研究としてロボット支援下尾側膵切除術を導入した.
◆安全な導入には,ロボット手術チームを構築して,十分なオンサイト,オフサイトトレーニング,手術見学を行い,プロクターを通して適切な手術技術を習得することが重要である.
◆患者さんにも本術式の特徴,現在の位置付けなどを含めて十分に説明して,同意を得ることも肝要である.

佐賀大学方式

著者: 井手貴雄 ,   能城浩和

ページ範囲:P.340 - P.344

【ポイント】
◆ロボット特有の機能を利用することで,微細な術野展開と繊細な操作が可能となる.
◆アーム・鉗子の干渉などロボット手術の特性をチームとして理解することが重要である.
◆ロボット支援下手術は従来型腹腔鏡下手術を凌駕する低侵襲性をもたらす可能性がある.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年3月末まで)。

弘前大学方式

著者: 石戸圭之輔 ,   木村憲央 ,   脇屋太一 ,   長瀬勇人 ,   赤坂治枝 ,   室谷隆裕 ,   三浦卓也 ,   諸橋一 ,   坂本義之 ,   袴田健一

ページ範囲:P.346 - P.354

【ポイント】
◆ロボット支援下膵体尾部切除術は操作性の高い鉗子ときわめて質の高い3D画像により,多くの膵腫瘍に対して有益な術式になることが期待される.
◆弘前大学方式では,患者の右側に2つおよび左側に1つのロボットアームを配置し,術者は左手で2本および右手で1本の鉗子を操作する.
◆ロボット膵体尾部切除術のデメリットは触覚がないことであるが,高度な3D画像による視覚や助手との細かな連携によりデメリットを十分に補うことができる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年3月末まで)。

FOCUS

複合的免疫療法—放射線照射とがん免疫療法の併用療法

著者: 河野浩二

ページ範囲:P.356 - P.361

はじめに
 ここ10年,免疫チェックポイント阻害薬(immune checkpoint inhibitors:ICI)を用いた癌免疫治療は急速な進歩をとげ,標準治療のkey drugとなる癌腫もあり,癌治療のmain streamを進む勢いである.癌を扱う外科医にとっても,ICIに関する知識,臨床経験は必須な状況であり,すでに,neoadjuvant chemotherapy(NAC)としての有用性を検証する臨床試験,adjuvant settingでの臨床開発が積極的に進み,良好な成績が報告されつつある.すなわち,ICIを用いた癌免疫療法は腫瘍外科医にとって必須なパーツと言える.
 一方,ICIが有効であることは疑いのないことであるが,単剤による奏効率はおおむね10〜30%といまだ満足できる結果ではなく,さらなる改善の余地がある.ICIにおける現在進行中あるいは今後の方向性としては,①有効例を選別するbiomarkerの同定,すなわち個別化の方向と,②複合免疫療法による奏効率の向上があり,熾烈な競争が世界中で進行中である.複合免疫療法に関しては,抗がん剤との併用,複数のICIの併用,放射線照射との併用,抗VEGF療法との併用,癌ワクチン療法との併用など,様々な選択肢がある.そこで,本稿では,「放射線照射とICIの併用療法」に焦点をあて,その理論的背景,現状,今後の課題を概説する.

坂の上のラパ肝・胆・膵・15

肝内側区域切除術

著者: 大目祐介 ,   本田五郎

ページ範囲:P.362 - P.370

Point
◆肝門板と内側区域の境界から切離を開始し,連続して臍静脈板の右側を露出しながら内側区域に流入するGlisson枝(G4)を順次切離する.
◆臍静脈板の基部(左Glisson茎根部)に接合するArantius管の腹側面を露出する.
◆内/外側区域間は,臍静脈板(左Glisson茎)右側面,Arantius管腹側面,肝表の鎌状間膜付着部(あるいはdemarcation line)に囲まれた面を離断する.
◆内/外側区域間の最も頭側で中肝静脈(MHV)と左肝静脈(LHV)もしくはumbilical fissure vein(UFV)との合流部を露出する.
◆内側区域/尾状葉間は,肝門板,Arantius管,MHV根部に囲まれた面を離断する.
◆内側/前区域間は,露出したMHVと肝表のdemarcation lineの間の面を離断する.
◆胆囊は切除する必要がなければ温存することができる.

病院めぐり

新潟大学地域医療教育センター魚沼基幹病院外科

著者: 小杉伸一

ページ範囲:P.371 - P.371

 当院は,新潟県南東部の福島・群馬・長野との県境にある魚沼医療圏の基幹病院として,2015年に2つの県立病院(小出病院と六日町病院)を統合する形で誕生した新しい病院です.魚沼医療圏は神奈川県より大きい面積に約16万人が暮らす,高齢化と過疎化が進む圏域です.新潟県は最新の医師偏在指標で,ついに岩手県を抜いてワーストになりました.その新潟県の中でも魚沼医療圏はワーストであり(全国335医療圏中323位),医師も高齢化と過疎化が進んでいます.この地域の医療再編に伴い,「高度医療」と「三次救急」を担うことが当院の役割として期待されています.
 当院の届出病床数は454床ですが,看護師不足のため開院後5年経ってもフル稼働していません(2020年10月現在356床).標榜科は31科で,現在の医師数は85人です.設置は新潟県が行いましたが,運営は一般財団法人新潟地域医療推進機構が行っています.また地域医療に貢献する医療人育成のため,新潟大学地域医療教育センターを併設しています.したがって,機構に所属する医師(46人)とセンターに所属する教員(39人)が混在しているのが特徴です.

臨床報告

外科的切除と薬物治療で長期生存している異時性肝・肺転移を伴う巨大副腎皮質癌の1例

著者: 正木裕児 ,   門田一宣 ,   淵本定儀

ページ範囲:P.373 - P.377

要旨
症例は62歳,女性.上部消化管造影検査で胃壁の圧迫所見があり,腹部CT検査で左上腹部に直径11 cmの巨大腫瘤を認めた.精査の結果,左副腎皮質癌と診断,腫瘍摘出術を実施した.病理組織学的検査で副腎皮質癌と診断した.術後2年目に肝・肺転移が出現したがいずれも切除可能と判断して,肝部分切除術と胸腔鏡下肺部分切除術を実施した.その後,肝と両肺に再び転移が出現,肝転移に対しては再肝切除術を実施した.多発性肺転移にはミトタン/EDP療法後に下葉切除で遺残のない切除ができた.発症から6年が経過し健存中である.副腎皮質癌は予後不良な希少癌であるが,遠隔転移があっても薬物治療と手術を組み合わせることで長期生存が得られる可能性が示唆された.

血管塞栓治療後に開腹手術を行った交通外傷による腹腔内出血の1例

著者: 西牧宏泰 ,   井上宰 ,   臼田昌広 ,   村上和重 ,   手島仁 ,   宮田剛

ページ範囲:P.379 - P.383

要旨
症例は49歳女性.交通外傷による出血性ショックで搬送された.来院時には血圧測定不能であったが輸液に反応するtransient-responderであったことから,開腹手術の準備を行いつつ損傷部位同定のために血管造影を行った.上腸間膜動脈末梢回腸枝分岐部にextravasationを確認,microcoilesを用いて塞栓を行った.塞栓術後,循環動態が安定したため全身麻酔下に開腹手術を施行した.術中にcoilesを確認することで速やかに出血部位を同定,開腹止血術および損傷部の切除を行った.術後経過は良好で第9病日に退院した.本例のように出血部位の予測が可能である腹腔内出血においては,血管塞栓術など補助治療を行うことで緊急開腹術へ安全かつ速やかに移行できる可能性が示唆された.

私の工夫

腹腔鏡下閉鎖孔ヘルニア修復術の手術手技と工夫

著者: 蜂谷裕之 ,   渋谷紀介 ,   多胡和馬 ,   髙木和俊 ,   石塚満 ,   窪田敬一

ページ範囲:P.384 - P.386

【はじめに】
 閉鎖孔ヘルニアは,高齢痩せ型の女性に好発し発生頻度は全腸管ヘルニアの0.1%と稀な疾患である.近年,閉鎖孔ヘルニアに対する腹腔鏡下ヘルニア修復術(transabdominal preperitoneal repair:TAPP)の報告が増えてきている.鼠径部ヘルニアのTAPP動画はよく散見されるが,閉鎖孔ヘルニアの修復動画は少ない.実際の術中写真や手術動画を参照することは,手術のイメージをつけやすく安全で確実な手術に繋がる.今回,腹腔鏡下閉鎖孔ヘルニア修復術の手術手技とTAPPをする際の私の工夫を報告させていただく.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年3月末まで)。

書評

—髙木 篤,他(編著)—すぐ・よく・わかる—急性腹症のトリセツ

著者: 林寛之

ページ範囲:P.355 - P.355

 「イレウス」は麻痺性イレウスを指し,機械的閉塞を伴うものは「腸閉塞」と呼ぶというように用語が統一されたのは,『急性腹症診療ガイドライン2015』がこの世に出てからとなる.私のような古だぬき先生となると,何でもかんでも「イレウス」とテキトーに呼んでいたから楽(?)だったが,確かに論文上ではほとんど“ileus”という用語は使われず,“bowel obstruction”と記載されていた.英語と日本語の齟齬が初めて正されたといえる.この急性腹症診療ガイドライン策定に陣頭指揮を執った真弓俊彦先生をはじめ,実に濃いメンバーで整合性がとれた内容の急性腹症の本が世に出たのは非常に喜ばしい.内容がアップデートされているのみならず,非常にわかりやすく,初学者にとっては重宝するテキストになるだろう.急性腹症はとにかく鑑別が多く,頭の中で整理するのは大変だもの.
 一般に腹痛のテキストを見ても,腹部の解剖学的な分割表に疾患名が羅列されただけのものが多く,病態生理を同時に考える本は少なかった.本書では内臓痛や体性痛が丁寧に説明されている.同時に解剖学的臓器を考えることで急性腹症の診断学力が飛躍的に伸びるだろう.腹膜刺激症状だけでは急性腹症は語れないのだ.「お腹が硬くないからこそ,怖い疾患」を想起できるかどうかは臨床医の腕の見せどころ.あくまでも診断は病歴と身体所見で8割想起可能であり,だからこそ疾患を予想して追加するCTの威力は抜群だ.一方,何も鑑別診断を挙げないで,「何でもかんでもCTさえすれば放射線科医が診断してくれるからいいや」なんという不届きな!(失礼)……安易な検査優先の診断学をしているのでは,簡単に「CTでは異常はありませんから病」なんて頼りない診断名でけむに巻くようになってしまうんだよね.

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目次

ページ範囲:P.266 - P.267

原稿募集 「臨床外科」交見室

ページ範囲:P.354 - P.354

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.390 - P.390

次号予告

ページ範囲:P.391 - P.391

あとがき

著者: 田邉稔

ページ範囲:P.392 - P.392

 2020年はコロナ禍で散々な一年であった.思い起こせば年始の1月2日,パンデミック勃発の前夜,「新年の初挑戦」は,東京世田谷の自宅から箱根芦ノ湖まで113 kmのロングライド・サイクリングであった.自分的にはかなり思い切った50代最後の挑戦であったが,終盤の標高894 m芦ノ湖へのヒルクライムでは,極度の疲労によりあえなく“足つき”挫折,最後の4 kmはどうにもペダルを踏む力を失い,手押しバイクでやっと元箱根に到着したのであった.この顛末をどう捉えるべきか? 目的地に到達したという意味では成功であるが,手押しで到着というのは美しさに欠ける.翌月2月に還暦を迎えるに当たり,引っ込みが付かない私は「再挑戦」を誓ったのであった.
 まずは安易な対策として,愛車ビアンキの改造から手を付けた.ロードバイクのメカを勉強すれにつれ,一流バイクと信じていた愛車が単なる中級エントリーモデルであることが判明,諸兄と同様に「改造沼」にハマったのであった.「鉄下駄」と称される鈍重ホイールはイタリア製シャマルウルトラに交換,サドル,シートポスト,ハンドルは費用節約のため中華カーボンに,クランクとペダルは信頼のシマノ・アルテグラに交換,さらに今はやりのパワーメーター4iiiiを装着した.「軽さは正義」と称されるヒルクライム・バイクは車重7.5 kg以下が常識のこの世界,当初のマイ・バイクは醜くも9.5 kgであったが,涙ぐましい大改造の末,車重7.4 kgまで落とすことに成功した.「そんなに自転車を改造する前に体を鍛えたら」という家族からの冷静な指摘を受け入れ,週末はランニングとロングライド,コロナ禍故に出張や会食は全くなく,実行し得た1年であった.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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