文献詳細
文献概要
臨床報告
Kasabach-Merritt症候群合併肝血管腫にthrombomodulinが著効した1切除例
著者: 南波宏征1 長津明久1 神山俊哉1 折茂達也1 蒲池浩文1 武冨紹信1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究院外科系部門外科学分野消化器外科学教室Ⅰ
ページ範囲:P.505 - P.508
文献購入ページに移動症例は70代男性.心窩部不快感を主訴に近医を受診し,肝外側区域に16 cm大の肝血管腫の診断となった.当院消化器内科に紹介となったが,受診時の採血で日本血栓止血学会DIC診断基準2017年版の診断基準を満たし,Kasabach-Meritt症候群(KMS)の診断となった.リコンビナントトロンボモジュリン(rTM)380 U/kgを6日間投与し,DICスコアは6点から1点に劇的に改善を認め,術中の出血傾向もなく肝左葉切除を施行することができた.手術時間は3時間41分,出血は200 mLであった.病理組織学的診断はhemangiomaで悪性所見は認めなかった.本症例のように近年DIC症例に対して術前にrTMを投与することで術中出血を抑制できた症例が報告されている.rTMはKMSを伴う肝血管腫の術前治療に有用である.
参考文献
掲載誌情報