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サージカルスモークのリスクと対策
著者: 藤原道隆12 土田祐揮13 小寺泰弘4
所属機関: 1名古屋大学大学院医学系メディカルxRセンター 2名古屋大学医学部附属病院医療機器総合管理部 3名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床工学・歯科部門 4名古屋大学大学院医学系研究科消化器外科学
ページ範囲:P.632 - P.636
文献購入ページに移動手術時にエネルギーデバイスを用いる際に発生する煙(サージカルスモーク)は,1981年のTomitaらの報告1)以来,手術室スタッフの健康に害を及ぼす可能性があるという指摘が長くなされてきた.当初は,大気汚染や喫煙と共通の有害化学物質に関してであり,その後,ウイルスや悪性腫瘍の断片なども含まれることが指摘されたが,重大な関心事となるには至らなかった.腹腔鏡下手術においては早くから排煙装置が使用されてきたが,医療スタッフの防護というより,もっぱら気腹ガスの透過性低下やスコープの汚染による視野の悪化を防ぐ目的であった.
昨年,Covid-19感染が全世界に拡大し,サージカルスモークにこのウイルスも含まれる可能性があるとしてにわかに関心が高まり,国内外の外科系学会から相次いで声明が出されたのは周知の通りである2,3).
サージカルスモークは,長期曝露による呼吸器系などへの影響と感染リスクについて,それぞれ有害性と対策を検討する必要があるが,どちらもまだ十分なエビデンスがない状況である.本稿では,サージカルスモークについて現在わかっていることと,スモークに対して可能な対策について述べる.
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