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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科76巻7号

2021年07月発行

雑誌目次

特集 若手外科医のための食道手術ハンドブック—良性から悪性まで

ページ範囲:P.787 - P.787

 食道は胸部背側に位置し,周囲は肺,気管,心臓,大動脈などのvital organに囲まれている.その解剖学的特徴が,外科治療の難易度を上げていることは間違いない.また食道が手術の対象になる機会は,他臓器に比べるとそれほど多くないものと思われるが,一般・消化器外科医にとって,その解剖を理解し,また外科治療の術式を知っておくことの重要性は変わらないものと考える.本特集では,若手外科医向けの“ハンドブック”として,遭遇しうる食道疾患に対する外科治療(手術方法とそのポイント)を,可能な限り動画付きで解説していただいた.

食道手術に必要な解剖知識

著者: 森和彦 ,   瀬戸泰之

ページ範囲:P.788 - P.795

【ポイント】
◆初めて見る手術は「術野に見えるものが何か?」から始まる一方で,専門医には「ここにあるはず」というナビゲーションが必須である.前者の立場を優先してまずは右胸腔での術野を解説し,その後に系統的な解説を行うことにした.
◆食道手術は基本3領域の手術であり,右胸腔からの術野のほか,頸部,腹部の術野に関して解説した.
◆食道と胸膜,奇静脈,迷走神経,気管支動脈の位置的な関係性は系統的な理解も必要と考え,別項で示した.
◆CT,内視鏡所見に関して短い解説を加え,これらを正しく評価するヒントになると考えた.

良性疾患に対する手術手技

アカラシア

著者: 井上晴洋

ページ範囲:P.796 - P.800

【ポイント】
◆腹腔鏡下Heller-Dor法がアカラシアに対する外科治療の標準術式である.Type Ⅰ, Ⅱ(Chicago分類)が良い適応である.
◆経口内視鏡的筋層切開術(POEM)は,全タイプのアカラシア(Type Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ)が一律に治療適応となる.
◆POEM後の難治性薬剤抵抗性GERDの発生率は0.3%未満である.POEF(経口内視鏡的皺襞形成術)の適応と考えられるが,今後症例の蓄積と長期データを必要とする.

裂孔ヘルニアに対する腹腔鏡手術の手技

著者: 竹村雅至 ,   嶋田泰尚 ,   瀧井麻美子 ,   形部憲 ,   大嶋勉 ,   山田正法 ,   田中芳憲 ,   藤尾長久

ページ範囲:P.801 - P.807

【ポイント】
◆滑脱型食道裂孔ヘルニアでは食道裂孔の右側からのアプローチ(右側アプローチ)で行うが,Ⅲ型・Ⅳ型ヘルニアでは左側アプローチが行いやすい.
◆ヘルニア囊は可及的に切除するが,食道腹側面でヘルニア囊に接して迷走神経前幹が存在していることが多く,無理な剝離は行わない.腹部食道の背側では伴走する迷走神経後幹の確実な確認と温存が必要である.
◆腹腔鏡下縫合手技を多用する手術であるため,縫合手技がスムーズに進まないと手術時間が延長する.普段からの縫合手技のトレーニングが重要である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

食道憩室に対する手術

著者: 本山悟 ,   佐々木智彦 ,   脇田晃行 ,   藤田啓 ,   佐藤雄亮 ,   長岐雄志 ,   佐々木吉寛

ページ範囲:P.808 - P.814

【ポイント】
◆咽頭食道憩室に対する手術のポイントは咽頭食道境界部の術野展開,憩室の剝離と切除,反回神経麻痺防止である.
◆胸部中部食道憩室は手術適応となることは少ないが,手術を行う場合は病態により複雑となる.
◆横隔膜上憩室に対する手術のポイントは手術アプローチ,術野展開,憩室の剝離と切除,縫合不全防止,食道下部括約筋切開である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

良性腫瘍

著者: 岡住慎一 ,   吉田豊 ,   杉浦善弥

ページ範囲:P.815 - P.820

【ポイント】
◆術前画像診断の要点は,腫瘍の壁在性,発生層,良悪性鑑別である.
◆右側胸部からのアプローチによる核出を基本とする.
◆術後狭窄を生じさせないために,内視鏡などの留置下などに縫合する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

特発性食道破裂の診断と治療

著者: 二宮大和 ,   小澤壯治 ,   小柳和夫 ,   山本美穂 ,   谷田部健太郎 ,   樋口格 ,   田島康平

ページ範囲:P.821 - P.827

【ポイント】
◆病歴聴取と画像検査により速やかに診断し,適切な治療法を選択する.
◆外科的治療では,穿孔部を正確に認識し,確実に縫合閉鎖を行う.
◆術後合併症である膿胸および縦郭膿瘍の予防対策として,十分な洗浄と適切なドレナージチューブ留置を行う.

胸部食道癌に対する手術手技

頸部郭清

著者: 金森淳 ,   渡邊雅之 ,   丸山傑 ,   藤原大介 ,   蟹江恭和 ,   坂本啓 ,   岡村明彦 ,   今村裕

ページ範囲:P.828 - P.834

【ポイント】
◆頸部郭清は,反回神経や重要血管の周囲組織の剝離および切離が凝縮された,食道外科医にとって基本的かつ重要な手技である.
◆術前に郭清範囲の頭側,尾側,内側,外側,背側のランドマークをイメージしておき,それらを術野に再現していくことで結果的に適切なリンパ節郭清が遂行できる.
◆特にNo. 101領域では,反回神経の位置や走行を常に意識した愛護的で鋭的な操作が求められる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

開胸による縦隔郭清

著者: 田中晃司 ,   山﨑誠 ,   土岐祐一郎

ページ範囲:P.836 - P.847

【ポイント】
◆助手による術野展開が重要であり,開胸特有の道具の使用が有効である.
◆スコープやエネルギーデバイスなど鏡視下手術の道具も活用する.
◆剝離可能層を理解し,鈍的剝離を活用することで手術時間短縮につながる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

胸腔鏡による縦隔郭清

著者: 大幸宏幸 ,   小熊潤也 ,   藤田武郎 ,   藤原尚志 ,   石山廣志朗 ,   栗田大資 ,   兼松恭平 ,   藤井雄介 ,   久保賢太郎 ,   宇都宮大地

ページ範囲:P.848 - P.854

【ポイント】
◆微細解剖により縦隔解剖の造詣が深まり,食道も間膜構造を有すると考えられ始めた.
◆直腸癌に対するTME(total mesorectal excision)になぞらえ,食道間膜切除(total mesoesophageal excision)±食道間膜外(側方)リンパ節郭清を概説した.

縦隔鏡・腹腔鏡による縦隔郭清

著者: 藤原斉 ,   塩崎敦 ,   小西博貴 ,   大辻英吾

ページ範囲:P.856 - P.865

【ポイント】
◆縦隔アプローチを用いることで,経胸手術と同等の縦隔リンパ節郭清が可能である.
◆そのためには,縦隔アプローチ特有の手術解剖の理解と手技の習熟が不可欠である.
◆安全な導入には,開胸困難例に限定しない段階的な適応拡大,継続的な症例経験が望まれる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

胸腔アプローチによるロボット支援下食道切除術の縦隔郭清

著者: 能城浩和 ,   與田幸恵 ,   梶原脩平

ページ範囲:P.866 - P.875

【ポイント】
◆ロボット支援下食道癌手術は高難度食道癌手術とロボットの特性を熟知しなければならない.
◆その操作性において食道癌はロボット支援下手術のよい適応であり,郭清すべき剝離可能層の認識や郭清操作にきわめて有効である.
◆本稿では,われわれが施行している腹臥位経胸腔的ロボット支援下食道切除術の手術手技を解説する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

食道癌に対するロボット支援下経縦隔アプローチの縦隔郭清手技

著者: 愛甲丞 ,   八木浩一 ,   谷島翔 ,   浦辺雅之 ,   李基成 ,   吉村俊太郎 ,   奥村康弘 ,   瀬戸泰之

ページ範囲:P.876 - P.881

【ポイント】
◆ロボット支援下経縦隔アプローチ食道切除術は,開胸せずに,根治性を損なうことなく実施できる.
◆通常の縦隔鏡手術では操作困難な中縦隔領域の郭清が容易で,術後肺炎を低減させる点で有用と考えられる.
◆経縦隔アプローチの視野における縦隔内の解剖をよく理解し,重要臓器の損傷に十分に注意する必要がある.

食道切除後の胃管再建

著者: 久保田哲史 ,   白川靖博 ,   石田道拡 ,   丁田泰宏 ,   井谷史嗣

ページ範囲:P.882 - P.891

【ポイント】
◆再建に伴う合併症を減らすために再建臓器の血流と緊張のない吻合が重要である.
◆HALSによる胃管作成は,愛護的な臓器の取り回しや手術時間短縮などの利点がある.
◆食道切除後の再建における臓器血流は重要で,ICG蛍光造影法は再建臓器の血流評価に有用である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

サルベージ食道切除

著者: 八木浩一 ,   谷島翔 ,   安川佳美 ,   浦辺雅之 ,   吉村俊太郎 ,   李基成 ,   奥村康弘 ,   野村幸世 ,   瀬戸泰之

ページ範囲:P.892 - P.897

【ポイント】
◆サルベージ食道切除は周術期合併症率や在院死亡率が高率である.
◆放射線照射による組織の瘢痕化や臓器血流の低下を考慮した手術が必要である.
◆開胸,胸腔鏡,縦隔鏡によるアプローチで行われている.
◆長期予後のためには,R0切除が必須である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

FOCUS

消化器外科領域における国産手術支援ロボット「hinotoriTM」の現状と今後の展望

著者: 田中毅 ,   須田康一 ,   中村謙一 ,   柴崎晋 ,   稲葉一樹 ,   宇山一朗

ページ範囲:P.898 - P.904

はじめに
 手術支援ロボットda Vinci Surgical System(Intuitive Surgical社;以下da Vinci)は,3Dモニター,多関節,モーションスケール,手振れ防止といった特徴を活かした精緻な手術操作を可能とし,世界のロボット支援下手術市場を席巻してきた.
 本邦初のロボット支援下胃癌手術として,2002年にHashizumeらが胃癌に対するロボット支援下胃切除術2例の実施を報告した1).当科では,ロボットの能力を最大限に活用して腹腔鏡下手術の合併症を軽減し,真の低侵襲手術を実現するため,2009年に全国に先駆けて,個人輸入でda Vinci SHD Surgical Systemを導入し,自費診療下にロボット支援下手術を開始した.症例経験を重ね,ロボットの性能を最大限活用すべく,double bipolar法,ダヴィンチ軸理論,画面4分割理論を考案し,基本手技とセットアップの標準化を行った2).2009年11月のda Vinci Sの薬事承認,2012年4月の前立腺全摘術の保険承認によって,泌尿器科領域においてロボット支援下手術は急速に増加した.一方,消化器外科領域においては,Uyamaらによって,多施設共同前向き試験(先進医療B)が実施され,従来型腹腔鏡下胃癌手術のhistorical controlと比較してロボット支援下手術の優越性が示された3).この結果を受け,2018年4月に12領域に保険適用が拡大され,現在,ロボット支援下手術は急激に増加している.一方で,診療報酬において保険点数のロボット使用加算は認められず,ロボット支援下手術のコスト低下は急務の課題となっている.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

病院めぐり

東京西徳洲会病院外科

著者: 渡部和巨

ページ範囲:P.905 - P.905

 2005年,東京都昭島市に,都内初の徳洲会病院として当院は誕生しました.当初は280床での開院でありましたが,地域の医療ニーズに応える形で徐々に増床されて,現在は486床・28の診療科を掲げるまでに至りました.病院のある昭島市は,東京駅から40 kmあまり西に位置しており,1961年には市内を流れる多摩川の河床でクジラの化石が発見された歴史があります.この発見により,160万年前は東京都心部を含め東京都の半分以上は海の底にあったことが証明されました.現在も昭島市内を見渡すと,ところどころクジラをモチーフにしたキャラクーや名称が使われています.
 現在,当院の外科は4名のスタッフ,3名の専攻医で構成されています.特徴としては,呼吸器外科・消化器外科・血管外科などを専門としているスタッフがいる中で,その分野にとらわれず幅広い診療・手術を行っていることです.われわれ外科スタッフと外科専攻医は,湘南外科グループ(Shonan Surgical Association:SSA, ssa-prg.com)に所属しており,グループのポリシーとしてgeneral surgeonであることの大切さを常に意識して,頻度の高い鼠径ヘルニア,痔や静脈瘤などにもしっかりと対応しています.当グループでは湘南鎌倉総合病院を基幹病院として,50名のスタッフが8つの病院で指導しています.日本はいま,高齢化が進み,患者様の合併症も多岐にわたり複雑化してきています.外科医と他科との連携がますます重要になってきますが,患者様を全人的に診て,プロブレムを拾い上げ,さらには初期対応ができ,すばやく専門的治療に繋げられるといった医師個人の能力がますます必要になってきています.そのような外科医を目指し,日々修練,教育を行っております.

坂の上のラパ肝・胆・膵・18

腹腔鏡下膵頭十二指腸切除術(切除・前編)

著者: 大目祐介 ,   本田五郎

ページ範囲:P.906 - P.915

Point
(前編)
◆肝十二指腸間膜や総肝動脈(CHA)周囲のリンパ節郭清は行わず,はじめに胃十二指腸動脈(GDA)を切離してその背側で門脈を露出したら,総胆管はそのすぐ頭側のレベルで確保する.胆囊は胆管空腸吻合後に個別に摘出する.
◆はじめにKocherの授動をして,切除の最終段階まで膵の切離を行わずに膵頸部をhangingし,腹腔鏡によるcaudal viewを活かすことで,上腸間膜動静脈(SMV)の右側・背側に良好な視野を確保する.
(後編:本文は第19回に掲載)
◆上腸間膜動脈(SMA)とSMVの周囲では,先に右側からのアプローチでSMVおよび空腸静脈(JV)と膵鉤部との間を剝離して下膵十二指腸静脈や細かい膵鉤部からの分枝を切離し,その後,左側からのアプローチでSMAと膵鉤部との間を切離する.
◆SMAとSMVの周囲では,背側から腹側,尾側から頭側に向かって,SMA/SMVから膵頭部を剝きあげるように切離を進める.

私の工夫

側腹部の腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術のメッシュ展開と固定の工夫—ハーフロール法と水玉打法

著者: 蜂谷裕之 ,   長澤雅裕 ,   蜂谷裕夫

ページ範囲:P.916 - P.919

【はじめに】
 腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア修復術は,整容性の観点やヘルニア門を確認しながらメッシュを留置できる点などのメリットがある反面,メッシュの展開が難しく,mesh bulgeによる再発も問題点として挙げられる.今回,側腹部のヘルニア修復術のメッシュ展開と腹壁固定時における私の工夫を紹介させていただく.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2024年7月末まで)。

書評

—小倉高志(編)—別冊『呼吸器ジャーナル』—COVID-19の病態・診断・治療—現場の知恵とこれからの羅針盤

著者: 藤田次郎

ページ範囲:P.800 - P.800

 医学書院から別冊『呼吸器ジャーナル』として『COVID-19の病態・診断・治療——現場の知恵とこれからの羅針盤』という本が出版された.多くの臨床医の興味を引きつけるテーマである.私自身,『呼吸器ジャーナル』の編集,および執筆に携わったことがあるものの,これまでの企画とは異なるスタイルの本であると感じた.
 まず,Ⅰ章ではCOVID-19に関する総論を,Ⅱ章ではCOVID-19を理解するために必要な基礎知識を示している.Ⅲ章では,各論として疫学・診断・治療を示している.これらの章からCOVID-19に関する基礎知識を学ぶことができる.なかなか見ることができない病理像まで紹介されている点に感心した.また臨床医の関心の高いワクチンの開発状況も参考になった.

—長浜隆司,竹内 学(編)—上部消化管内視鏡診断アトラス

著者: 野中康一

ページ範囲:P.835 - P.835

 インターネット社会となり,若手内視鏡医はネットで好きなときに興味がある領域だけ勉強すればよい時代となった.なってしまったというほうが表現は正しいかもしれない.大勢の前で内視鏡所見を読影するドキドキ感は縁遠いものとなり,貴重な症例を勉強できる勉強会へ積極的に参加しようという意気込みのある若手内視鏡医は絶滅危惧種になりつつある.
 さらに追い打ちをかけるように誰もが予想だにしなかった新型コロナウイルス感染症のパンデミックに襲われ,勉強会に参加するどころか開催もされない状況となった.時間はあるのに,勉強会に参加できない.学会に参加できない.そういう若手内視鏡医が増えているように思える.

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目次

ページ範囲:P.784 - P.784

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.924 - P.924

次号予告

ページ範囲:P.925 - P.925

あとがき

著者: 瀬戸泰之

ページ範囲:P.926 - P.926

  口角泡を飛ばしたい!
 口角泡を飛ばせなくなって久しい.学会,研究会,会議はほとんどがオンラインとなり,画面を通じての発表,議論となっている.2年前には想像もしなかったことであり,通信技術の進歩にはただ驚愕するばかりである.また,現地に赴く必要がなく,移動の時間を省略できるし,参加,出席しやすくなったうえ,交通費・会議費の節約になっていることも疑いの余地なく,デメリットばかりではないことも承知している.ただ,である.面と向かっておらず,勢い熱くなることは少なかろう.画面から顔色は伺えず,どうしてもコミュニケーションとしては希薄になってしまうきらいは否めない.人類の歴史を通じて,「飲みニケーション」もまた進歩,発展に大きな役割を果たし,潤滑油となっていたことは自明の理である(時に逆になってしまうこともあるが).その場がなくなってしまったことも,こよなくビールを愛する筆者としては残念至極である.科学や技術の進歩のためにも,口角泡を飛ばして議論したほうがいいことは間違いない.一刻も早く,そのようなコミュニケーションができる日が戻ってくることを,ただただ願うばかりである.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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