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書評
—辻 哲也(編著)—がんのリハビリテーションマニュアル 第2版—周術期から緩和ケアまで
著者: 田村和夫1
所属機関: 1福岡大
ページ範囲:P.105 - P.105
文献購入ページに移動 2021年9月,本書が発刊された.初版から10年がたち,がん治療の進歩とともに,がんのリハビリテーション(以下,リハ)はエビデンスが蓄積され,標準化が進み改訂に至ったものである.がんに携わる全ての医療者が,がんリハ専門家の指導のもとでがんリハを実践できるように記載された本書をぜひ推薦したい.
評者は半世紀にわたり化学療法の創成期から現在のゲノム医療まで共に歩んだ腫瘍内科医である.当初,がんを治すことをめざし,徹底した治療を行っていた.ある時,精巣腫瘍の高校生を診る機会があり,脱毛がいやで治療に消極的だった彼を説得しシスプラチン併用療法を開始した.悪心・嘔吐(CINV)が強く心身の疲弊から「もう,許してほしい」と懇願され,治療が完遂できなかった.その後,有効な制吐薬が開発されCINVは制御できるようになった.このような支持療法はがん対策推進基本計画の重要な施策の1つに掲げられているとはいえ,系統立った教育,研究,診療が不十分な領域である.
評者は半世紀にわたり化学療法の創成期から現在のゲノム医療まで共に歩んだ腫瘍内科医である.当初,がんを治すことをめざし,徹底した治療を行っていた.ある時,精巣腫瘍の高校生を診る機会があり,脱毛がいやで治療に消極的だった彼を説得しシスプラチン併用療法を開始した.悪心・嘔吐(CINV)が強く心身の疲弊から「もう,許してほしい」と懇願され,治療が完遂できなかった.その後,有効な制吐薬が開発されCINVは制御できるようになった.このような支持療法はがん対策推進基本計画の重要な施策の1つに掲げられているとはいえ,系統立った教育,研究,診療が不十分な領域である.
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