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文献詳細

雑誌文献

臨床外科77巻11号

2022年10月発行

文献概要

増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために Ⅰ 食道

頸部食道癌(再建含む)

著者: 峯真司1 橋本貴史1 折田創1 橋口忠典1 那須元美1 藤原大介1 加治早苗1 尾崎麻子1 夕部由規謙1 吉野耕平1 菅原友樹1 吉本雄太郎1 窪田晃1 福永哲1

所属機関: 1順天堂大学医学部上部消化管外科学講座

ページ範囲:P.7 - P.12

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 頸部食道癌は胸部食道癌に比して発生頻度が低い.特に頸部食道のみに限局する頸部食道癌はまれである.そのため,必然的に各施設や各外科医における経験数が少なくなってしまう.症例数が少ないため標準的な治療方針が定まっておらず,治療方針についての比較試験も行われていない.施設間格差も大きい領域と考えられ,十分に喉頭温存可能な頸部食道癌の場合でも喉頭温存不可能と判断され根治的化学放射線療法が選択されている症例もある.
 明らかに喉頭温存が不可能な場合については,喉頭摘出を含めた切除を選択するか根治的な化学放射線療法を選択するか,という二択になるが,本稿では扱わないこととする.一方で,腫瘍が食道入口部に近接している場合には喉頭温存可能かどうかぎりぎりの判断が必要となる.根治的化学放射線療法をまず施行し,腫瘍遺残または再燃後に切除を考慮するという方針もあるが,胸部食道癌同様に根治的化学放射線療法後の遺残や再燃の診断が難しいこと,また一方で根治的化学放射線療法後に嚥下機能低下が発生するという問題もある1).サルベージ頸部食道切除をする場合でも,術前から嚥下機能低下がある場合に食道切除し高位吻合を行うとさらに嚥下機能が低下し,喉頭は残したものの経口摂取ができなくなり肺炎を繰り返し著しくQuality of Life(QOL)を下げる可能性もある.

参考文献

1)久保田彰:耳喉頭頸86:820-827,2014

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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