文献詳細
増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために
Ⅰ 食道
文献概要
食道裂孔ヘルニア(図1)とは,食道裂孔から腹腔内臓器(主に胃)が縦隔・胸腔に脱出する病気である.嚥下障害など保存的治療困難な随伴症状を有する症例や,PPI抵抗性の胃食道逆流症(gastroesophageal reflux disease:GERD)などが手術適応となることが多い.手術内容は,腹腔鏡下での食道裂孔修復・噴門形成術である.手術適応は画像診断のみでは決定されず,症状,病悩期間,生理学的検査などを合わせて総合的に判断される.本稿では,食道裂孔ヘルニアの診断・治療の一般論とともに,症例(図2〜4)を提示しながら注意点について述べていきたい.また,一般的な成書には記載が少ないと思われる食道癌術後に発生しうる食道裂孔ヘルニアについても述べたい.
参考文献
1)森 俊幸:成人病と生活習慣病46:592-596,2016
2)日本消化器病学会(編):胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021,改訂第3版.南江堂,2021
3)Fuch KH, et al;European Association of Endoscopic Surgery:Surg Endosc 28:1753-1773, 2014
4)柏木秀幸:Gastroenterol Endosc 44:2059-2069, 2002
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