臨床外科77巻11号

2022年10月発行

増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために

Ⅱ　胃・十二指腸

食道胃接合部癌

著者： 中村謙一¹ 柴崎晋¹ 鈴木和光¹ 芹澤朗子¹ 秋元信吾¹ 中内雅也² 田中毅¹ 稲葉一樹² 宇山一朗²³ 須田康一¹⁴

所属機関： ¹藤田医科大学総合消化器外科 ²藤田医科大学先端ロボット内視鏡手術学講座 ³藤田医科大学先端外科治療開発共同研究講座 ⁴藤田医科大学高度情報医療外科学共同研究講座

ページ範囲：P.51 - P.57

文献概要

　食道胃接合部（esophagogastric junction：EGJ）は，本邦では西分類に基づいて「EGJ（食道筋層と胃筋層の境界）の上下2 cmの部位」と定義されている^1,2）．そしてEGJ癌は，組織型にかかわらずこの領域内に中心をもつ癌と定義されている^1）．近年ではKurokawaら^3）により報告された多施設共同前向き研究の結果をもとに手術アプローチとリンパ節郭清のアルゴリズムが定められ，一定のコンセンサスが得られている^3,4）．腫瘍の食道浸潤長により術式が変わる可能性だけでなく手術難易度にも大きく影響してくるため，術前の正確な食道浸潤長の評価が重要となる．本稿では，EGJ癌に対する術前診断や術式選択のポイントにつき，解説する．

参考文献

1）日本食道学会（編）；臨床・病理 食道癌取扱い規約，第11版．金原出版，2015

2）西　満正：外科診療15：1328-1338，1973

3）Kurokawa Y, et al：Ann Surg 274：120-127, 2021

4）日本胃癌学会（編）；胃癌治療ガイドライン 医師用2021年7月改訂，第6版．金原出版，2021

5）Aida J, et al：Am J Surg Pathol 35：1140-1145, 2011

6）Kumagai Y, et al：Dis Esophagus 25：484-490, 2012

7）Uyama I, et al：Gastric Cancer 22：377-385, 2019

8）山下裕玄，他：外科82：1108-1112，2020

9）日本胃癌学会（編）；胃癌取り扱い規約，第15版．金原出版，2017

10）Mine S, et al：Eur J Surg Oncol 41：1348-1353, 2015

11）Kuroda S, et al：J Am Coll Surg 223：e7-e13, 2016

12）Yamada E, et al：J Surg Res 178：700-707, 2012

13）Inaba K, et al：J Am Coll Surg 211：e25-e29, 2010