文献詳細
増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために
Ⅱ 胃・十二指腸
脾門部リンパ節郭清
著者: 徳永正則1 石橋直哉1 坂野正佳1 佐藤雄哉1 谷岡利朗1 山口和哉1 藤原尚志1 川田研郎1 春木茂男1 絹笠祐介1
所属機関: 1東京医科歯科大学消化管外科学分野
ページ範囲:P.85 - P.89
文献概要
術前の腹部造影CT検査は,病期診断に必須であることはいうまでもなく,血管走行の破格,臓器間の位置関係を把握し,術中トラブルを回避するためにも有用である.胃切除術において重要な,腹腔動脈の3分岐をはじめとした血管走行の破格に関しては,これまでにも多くの報告がなされている1).また,脾門部リンパ節郭清において鍵となる膵臓,脾臓および脾動静脈は後腹膜に固定されているため,術野の展開によって相互の位置関係が大きく変わることがない.そのため,実際の術野における解剖学的位置関係を術前CTで予想することが可能となる(たとえば,左胃動脈の根部は術前CTで同定できるが,実際の術野における走行はCT画像で得られたものとは大きく異なる.後腹膜に固定されていない胃および左胃動脈を含む胃の辺縁動脈は,術野展開により大きく位置関係が変異するためである).
より詳細かつ立体的な解剖学的位置関係の把握においては,SYNAPSE VINCENT(富士フイルム),ZioCube(ザイオソフト)などの画像再構築ソフトの利用が有用である(図1)2).一方で,これらのソフトウェアの普及は限定的であると考えられるため,本稿ではthin sliceのCT画像をもとに考察する.また,脾門リンパ節郭清は,脾門近くの膵上縁リンパ節(No. 11dリンパ節)郭清と切り離せない関係にあるため,No. 11dリンパ節郭清におけるポイントも併せて述べる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年10月末まで)。
参考文献
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