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文献詳細

雑誌文献

臨床外科77巻11号

2022年10月発行

文献概要

増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために Ⅲ 小腸・大腸 悪性疾患

左半結腸切除術

著者: 小杉千弘1 幸田圭史1 清水宏明1 山崎将人1 首藤潔彦1 碓井彰大1 野島広之1 村上崇1 松本智弘1 内山まり子1

所属機関: 1帝京大学ちば総合医療センター外科

ページ範囲:P.108 - P.111

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 近年では,手術機器の進歩および手技の向上により,進行結腸癌に対しての腹腔鏡下手術が施行されており,「大腸癌治療ガイドライン」でも大腸癌手術の選択肢の1つとして行うことを弱く推奨している(推奨度2・エビデンスレベルB)1).しかし,本邦で施行された腹腔鏡下結腸癌手術の開腹手術に対する大規模ランダム化比較試験であるJCOG0404試験では,横行結腸癌症例や下行結腸癌症例は対象から除外されており,また海外のランダム化比較試験の報告でも横行結腸癌は除外されている2〜4).これは,脾彎曲部近傍に首座を有する横行結腸癌や下行結腸癌に対しての手術は支配血管が多彩な解剖学的分岐形態を呈しており,的確なリンパ節郭清と適切な血管処理を行うに際して郭清手技が高度であるためである.よって,左半結腸切除術の適応となる症例においては,腹腔鏡下手術もしくは開腹手術のどちらの術式でも,術前からの他臓器との位置関係や血管走行などの把握を行うことが重要であり,術前画像診断は治療方針および方法の決定に非常に大きな役割は果たす.
 本稿では左半結腸切除術を施行するために術前に把握しておくべき局所解剖,隣接する臓器および血管について重要なポイントとして,①腹腔鏡下手術の際や早期癌症例などの小さな病変に対して手術を行う際には腫瘍の存在位置を正確に把握するために術前の下部消化管内視鏡による点墨やクリッピングが必要となること,②脾彎曲部近傍の横行結腸や下行結腸の支配血管解剖は多彩であるため術前の3D-CT angiographyでの評価が重要であること,の2点について解説する.

参考文献

1)大腸癌研究会(編);大腸癌治療ガイドライン 医師用,2022年版.金原出版,2022
2)Lacy AM, et al:Lancet 359:2224-2229, 2002
3)Weeks JC, et al;JAMA 287:321-328, 2002
4)Clinical Outcomes of Surgical Therapy Study Group;Nelson H, et al:N Engl J Med 350:2050-2059, 2004
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6)Saito S, et al:Surg Endosc 30:3976-3986, 2016
7)Matsuda A, et al:J Surg Res 205:474-481, 2016
8)Sonneland J, et al:Surg Gynecol Obstet 106:385-398, 1958
9)Miyake H, et al:Colorectal Dis 20:1041-1046, 2018
10)Iguchi K, et al:Int J Colorectal Dis 36:405-411, 2021
11)Ito K, et al:Pancreatology 19:781-785, 2019
12)Murono K, et al:Colorectal Dis 22:392-398, 2020
13)室野浩司,他:臨外76:942-948,2021
14)Watanabe J, et al:Int J Colorectal Dis 32:201-207, 2017

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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