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文献詳細

雑誌文献

臨床外科77巻11号

2022年10月発行

増刊号 術前画像の読み解きガイド—的確な術式選択と解剖把握のために

Ⅲ 小腸・大腸 良性疾患

腸閉塞

著者: 小山文一1 久下博之1 尾原伸作1 岩佐陽介1 竹井健1 高木忠隆1 定光ともみ1 原田涼香1 藤本浩輔1 庄雅之1

所属機関: 1奈良県立医科大学消化器・総合外科学教室

ページ範囲:P.145 - P.150

文献概要

 従来日本では,腸管の通過障害を閉塞機転の有無にかかわらず“イレウス”と総称し,成因によって機械性イレウスや機能性イレウスと称してきた.しかし,海外では“ileus”を機能性の腸管麻痺,“intestinal obstruction”を機械的な閉塞を伴う腸閉塞と区別されてきた.この乖離を是正すべく,2015年発刊の『急性腹症診療ガイドライン2015』1)では,機能性イレウス(腸管麻痺)のみをイレウスとし,従来の機械性イレウスはイレウスとは呼ばず,腸閉塞と定義された.したがって,現在の腸管通過障害の概念と治療方針は図1のようになる.
 腸閉塞は,急性腹症のなかで男性3位,女性2位の頻度の高い疾患で,発症後30日以内の死亡率が約5%の危険な疾患である.特に絞扼性腸閉塞は医療訴訟の多い疾患で,争点の大半は診断の遅れと緊急手術の遅れである2).腸閉塞は適時の診断と治療介入が決定的に重要な疾患である.本稿では,診断に利用されることの多いCT画像と術中所見を対比させて術前CT画像の読み解きに迫る.

参考文献

1)急性腹症診療ガイドライン出版委員会(編);急性腹症診療ガイドライン 2015.医学書院,東京,2015
2)中村伸理子,他:日腹部救急医会誌33;23-29,2013
3)Delabrousse E, et al:AJR Am J Roentgenol 192:693-697, 2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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