文献詳細
書評
—Anne M. R. Agur,Arthur F. Dalley(原著) 坂井建雄(監訳) 小林 靖,小林直人,市村浩一郎,西井清雅(訳)—グラント解剖学図譜 第8版 フリーアクセス
著者: 森正樹1
所属機関: 1東海大
ページ範囲:P.1360 - P.1360
文献概要
坂井先生が序で書かれているように,本書は「知識をもとに頭の中で組み立てられたもの」ではなく,一切の予備的知識を捨てて,純粋にありのままの姿を描くことを基本としている.例えば外科医が初期に行う手術として鼡径ヘルニアの手術がある.多くの外科書では鼡径管と周囲臓器の関係が概念的に描かれているので,研修医には理解が容易でない.私自身も外科医になりたてのころは,実際の解剖学的鼡径管の構造が理解できなかった.本書では二次元図ではあるものの,深鼡径輪から浅鼡径輪までの道筋が周囲の筋肉や靱帯と共に俯(ふ)瞰(かん)的に描かれており,極めて容易に理解できる.
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