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臨床報告
短期間に多発乳癌,多発胃癌,悪性リンパ腫を発症した毛細血管拡張性運動失調症の1例
著者: 館花明彦1 河合宏美2 井上泰3
所属機関: 1関東中央病院乳腺外科 2関東中央病院消化器外科 3関東中央病院病理診断科
ページ範囲:P.1375 - P.1380
文献購入ページに移動毛細血管拡張性運動失調症(ataxia telangiectasia:AT)は常染色体劣性遺伝形式をとるまれな疾患である.運動失調,毛細血管拡張,免疫不全などを主症状とし,免疫異常や悪性腫瘍により多くは20代前半までに死亡する.今回,AT治療中の30代の短期間で,異時性多発悪性腫瘍により死亡の転帰をとった1例を経験した.症例は初診時33歳の女性で,左右同時乳癌に対し手術を施行し,34歳時に同時性多発胃癌に対し幽門側胃切除が施行され,37歳でT細胞性悪性リンパ腫により死亡の転帰となった.AT患者は被曝が問題となり,検査計画に難渋する.本症例も癌検診および転移再発検索には繊細な配慮が必要であった.
今回,30代で初回の悪性腫瘍が発生し,短期間に多発し死亡の転帰となったATの1例を報告する.
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