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「十二指腸癌診療ガイドライン」の要点—特に外科治療に関して
著者: 庄雅之1 中川顕志1 赤堀宇広1
所属機関: 1奈良県立医科大学消化器・総合外科
ページ範囲:P.220 - P.223
文献購入ページに移動十二指腸癌は消化器癌のなかでも希少癌に属する疾患である.昨今の日常診療においては遭遇する機会が少しずつ増えつつあるが,希少癌ゆえに明確な標準治療といえるものはなく,実臨床では治療計画に苦慮することも少なくない.また,十二指腸の解剖学的特性から診断,治療においてはいくつかの難しい側面がある.特に治療においては,外科手術,内視鏡治療,薬物治療,放射線治療,あるいはそれらの組み合わせを含めてさまざまな選択肢がある.また個々の治療法の必要性,妥当性の判断や検証は難しいことも多い.実際,手術では至適術式やリンパ節郭清範囲の決定は必ずしも容易ではない.
今回,がん対策推進総合研究事業「希少癌診療ガイドラインの作成を通した医療提供体制の質向上」における研究代表者であり,日本胃癌学会理事長,名古屋大学 小寺泰弘教授ならびに日本肝胆膵外科学会前副理事長,和歌山県立医科大学 山上裕機教授が主導され,両学会の支援の下,十二指腸癌診療ガイドライン作成委員会が発足した.筆者が委員長を拝命して,その後,少しずつではあったが慎重かつ着実に作業を進めていった.途中,コロナ禍に見舞われ,思わぬ形で作業が難航したが,ガイドライン作成委員の献身的な多大なる尽力によって,ようやく2021年7月末に国内初のガイドライン1)が発刊できた.
本稿では,ガイドラインの内容の概説と,主に外科治療に関する要点の解説を行いたい.
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