文献詳細
臨床報告
ANCA関連血管炎の初発症状として発症した腸間膜脂肪織炎の1例
著者: 佐原稚基1 桐山茂久1 山口和哉1 東裏將己2 西野栄世3
所属機関: 1ひだか病院外科 2和歌山県立医科大学腎臓内科 3岸和田徳洲会病院病理科
ページ範囲:P.353 - P.357
文献概要
症例は76歳,女性.発熱,腹痛を主訴に腹腔内膿瘍を疑い入院した.保存的に加療を行ったが,血液や腹水の細菌培養は陰性で,抗菌薬は十分な効果が得られなかった.腹部CT所見,審査腹腔鏡所見と生検結果から,腸間膜脂肪織炎と診断した.しかし,その後の経過でANCA関連血管炎の存在が判明した.今回の症例では,全身性血管炎の存在が明らかとなる前に,腸間膜脂肪織炎として発症した稀な症例であると思われた.
ANCA関連血管炎は近年増加傾向であり,予後不良な急速進行性糸球体腎炎を示すことがあるため,早期の診断,治療が要求される.一般外科医においても周知しておくべき内科疾患であると考えられた.
参考文献
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