icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科77巻7号

2022年07月発行

How to start up 縦隔鏡下食道亜全摘・6

中縦隔の解剖,食道腹側の操作

著者: 森和彦1 瀬戸泰之2

所属機関: 1三井記念病院消化器外科 2東京大学医学部附属病院胃食道外科

ページ範囲:P.855 - P.864

文献概要

中縦隔腹側の解剖
 中縦隔では迷走神経が食道を左右の側方から面状に固定している.左右の迷走神経はそれぞれ主気管支膜様部と密接だが,癌の浸潤がある場合を除いて,神経と気管気管支との剝離は実は容易である.むしろ,神経と食道の結合は強固なので,気管気管支と食道の分離の際には,神経を食道の左右に広がる翼状の平面構造とみなして気管気管支より授動するとよい(図1).
 ただし,この平面構造は肺門をまたいで下縦隔まで続くため,尾側ではやや複雑となる.中下縦隔では縦隔胸膜は左右とも肺門と肺間膜の部分で途切れるので,いわば食道と肺実質が胸膜を介さずに食道への支持組織を介して接する部分が生じるのである.連載第3回で解説した図(2022年3月号344ページ,図12)を再掲する(図2).図のように食道を包む臓器鞘(食道周囲筋膜)は左右ともその辺縁が肺間膜および縦隔胸膜に結合しているため,食道は左右に扁平となる.この結合は左側では平滑筋を含んでおり,胸膜食道筋と呼ばれる.右側でも肺門近くで同様の平滑筋もしくは靱帯様の構造が迷走神経とともに食道の右縁に観察されるが,肺門より尾側では食道周囲筋膜の背側は右縦隔胸膜と直に接するようになる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら