臨床外科77巻8号

2022年08月発行

特集 よくわかる肛門疾患—診断から手術まで 各論

痔瘻癌の診断と外科手術

著者： 須並英二¹ 吉敷智和¹ 若松喬¹ 小嶋幸一郎¹ 麻生喜祥¹ 飯岡愛子¹ 本多五奉¹ 片岡功¹ 金翔哲¹ 磯部聡史¹ 阪本良弘¹ 阿部展次¹

所属機関： ¹杏林大学医学部消化器・一般外科

ページ範囲：P.962 - P.966

【ポイント】
◆痔瘻癌の診断に際しては，罹病期間の長い痔瘻に対して癌発生の疑いをもつことが大事であり，必要があれば麻酔下に生検を行う．
◆治療は手術が基本となるが，腫瘍範囲の正確な判断は困難であるため，十分なマージンを想定した手術計画が必要である．
◆切除断端陽性の回避のため術前化学放射線療法なども考慮する．

参考文献

1）大腸癌研究会（編）：大腸癌治療ガイドライン2022年版．金原出版，2022

2）鮫島伸一，澤田俊夫，長廻　紘：本邦における肛門扁平上皮癌，痔瘻癌の現況．第59回大腸癌研究会アンケート調査報告．日本大腸肛門病学会雑誌58：415-421，2005

3）左雨元樹，山名哲郎，小野朋二郎，他：痔瘻癌42例の臨床病理と治療成績の検討．日本大腸肛門病学会雑誌70：57-63，2017

4）佐藤太一，山田一隆，緒方俊二，他：痔瘻癌25例の臨床病理学的検討．日本消化器外科学会雑誌49：579-587，2016

5）隅越幸男，岡田光生，岩垂純一，他：痔瘻癌．日本大腸肛門病学会雑誌34：467-472，1981

6）岩垂純一：長期の痔瘻の既往を有する肛門管癌，いわゆる痔瘻癌の臨床病理学的研究．日本大腸肛門病学会雑誌44：461-476，1991

7）山田大輔，扇　和之，木村浩一朗，他：痔瘻癌と痔瘻　MRI診断上のポイントとピットフォール．映像情報Medical 48：104-108，2016

8）Berger KL, Nicholson SA, Dehdashti F, et al：FDG PET evaluation of mucinous neoplasms：correlation of FDG uptake with histopathologic features. AJR Am J Roentgenol 174：1005-1008, 2000

9）松田圭二，赤羽根拓弥，島田　竜，他：【直腸肛門部病変の鑑別診断　最新の知見を含めて】痔瘻癌の1例．胃と腸45：1392-1398，2010