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書評
—Anne M. R. Agur,Arthur F. Dalley(原著) 坂井建雄(監訳) 小林 靖,小林直人,市村浩一郎,西井清雅(訳)—グラント解剖学図譜 第8版
著者: 尾﨑紀之1
所属機関: 1金沢大・機能解剖学
ページ範囲:P.34 - P.34
文献購入ページに移動 このたび,原著15版に基づいた『グラント解剖学図譜 第8版』が出版されました.本書は,J. C. B. Grant教授が,自らの手で繊細な解剖を行った解剖標本をもとに忠実に描かれた解剖学図譜がもとになっており,写実性と正確性を特徴とした優れたアトラスです.
写実的なアトラスの有用性は,解剖実習の現場で教えている誰もが感じるところです.解剖学で難解なのは,複雑な形をした臓器や器官の,空間的・立体的配置の会得です.これはいかに丁寧に言葉を尽くしても伝えるのが難しく,また繰り返し文章で読んでも理解することは難しいものです.剖出写真を示したとしても,学生では写真のどこに着目したらよいのかわからない場合があります.しかし,構造を理解している人の手によって描き起こされたアトラスの図を見ながら,自らの手で剖出することによって,頭の中でいくら再構築してもわからなかったことが初めてわかる,まさに腑に落ちる経験は,実習を経験した者なら何度もあると思います.
写実的なアトラスの有用性は,解剖実習の現場で教えている誰もが感じるところです.解剖学で難解なのは,複雑な形をした臓器や器官の,空間的・立体的配置の会得です.これはいかに丁寧に言葉を尽くしても伝えるのが難しく,また繰り返し文章で読んでも理解することは難しいものです.剖出写真を示したとしても,学生では写真のどこに着目したらよいのかわからない場合があります.しかし,構造を理解している人の手によって描き起こされたアトラスの図を見ながら,自らの手で剖出することによって,頭の中でいくら再構築してもわからなかったことが初めてわかる,まさに腑に落ちる経験は,実習を経験した者なら何度もあると思います.
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