icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床外科78巻10号

2023年10月発行

文献概要

臨床報告

鼠径部切開法のみで手術した鼠径ヘルニアに合併した非交通性陰囊水腫の1例

著者: 塩ノ崎元博1 河原秀次郎1 河合裕成1 塚崎雄平1 平林剛1 小村伸朗1

所属機関: 1独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院外科

ページ範囲:P.1283 - P.1285

文献購入ページに移動
要旨
症例は44歳,男性.7年前に右鼠径ヘルニアの手術を他院で受けた.3年ほど前から左側陰囊が徐々に腫大し巨大化したため,精査加療目的で当科に紹介された.腹部CT検査では両側の陰囊水腫がみられ,さらに右鼠径ヘルニアの再発と左鼠径ヘルニアがみられた.手術は両鼠径部の鼠径部切開法で開始した.左側鼠径管を開放して鼠径管内容を検索したがJHS M-3の鼠径ヘルニアと非交通性陰囊水腫であった.左側陰囊水腫を陰囊内から剝離授動して摘出しWinkelmann手術を行ったあと,精巣を陰囊内側に3針縫合固定して還納し,左鼠径ヘルニアはonlay meshを用いて修復した.右鼠径ヘルニアは前回の手術で留置したonlay meshと恥骨の間の再発でJHS R1,M-1であったため,その部位を縫合閉鎖した.また右側陰囊水腫は穿刺吸引のみ行った.これまでに非交通性陰囊水腫と鼠径ヘルニアを同時に手術した報告例はなく,陰囊を切開することなく鼠径部切開法だけで行う手術は,選択すべき術式の1つと考えられた.

参考文献

1)宮崎栄治:【よくある疾患の診かた-他科からの助言-】小児外科 陰囊水腫,精索水腫,ヌック水腫.小児臨71:1958-1962,2018
2)星野真由美:陰囊水瘤(腫)・精索水瘤(腫),停留精巣.周産期医50:229-231,2020
3)大浜和憲:陰囊水瘤:生まれたときに自然になおるといわれましたが,3歳でもなおりません.小児外科49:81-83,2017
4)Rioja J, Sánchez-Margallo FM, Usón J, et al:Adult hydrocele and spermatocele. BJU Int 107:1852-1864, 2011
5)Rowe MI, Marchildon MB:Inguinal hernia and hydrocele in infants and children. Surg Clin North Am 61:1137-1145, 1981
6)重本弘定,藤田 渉,西本隆重,他:乳幼児の特発性陰囊水腫および精索水腫の成因と手術法に対する検討.日臨外医会誌46:855-858,1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?