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臨床報告
鼠径部切開法のみで手術した鼠径ヘルニアに合併した非交通性陰囊水腫の1例
著者: 塩ノ崎元博1 河原秀次郎1 河合裕成1 塚崎雄平1 平林剛1 小村伸朗1
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構西埼玉中央病院外科
ページ範囲:P.1283 - P.1285
文献購入ページに移動症例は44歳,男性.7年前に右鼠径ヘルニアの手術を他院で受けた.3年ほど前から左側陰囊が徐々に腫大し巨大化したため,精査加療目的で当科に紹介された.腹部CT検査では両側の陰囊水腫がみられ,さらに右鼠径ヘルニアの再発と左鼠径ヘルニアがみられた.手術は両鼠径部の鼠径部切開法で開始した.左側鼠径管を開放して鼠径管内容を検索したがJHS M-3の鼠径ヘルニアと非交通性陰囊水腫であった.左側陰囊水腫を陰囊内から剝離授動して摘出しWinkelmann手術を行ったあと,精巣を陰囊内側に3針縫合固定して還納し,左鼠径ヘルニアはonlay meshを用いて修復した.右鼠径ヘルニアは前回の手術で留置したonlay meshと恥骨の間の再発でJHS R1,M-1であったため,その部位を縫合閉鎖した.また右側陰囊水腫は穿刺吸引のみ行った.これまでに非交通性陰囊水腫と鼠径ヘルニアを同時に手術した報告例はなく,陰囊を切開することなく鼠径部切開法だけで行う手術は,選択すべき術式の1つと考えられた.
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