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臨床報告
拡大胸腺摘出術中に心損傷をきたした先天性左心膜欠損症の1例
著者: 佐々木明洋1 加藤弘明1 久保田玲子1 阿部大1 成田吉明1
所属機関: 1手稲渓仁会病院胸部外科
ページ範囲:P.370 - P.373
文献購入ページに移動先天性心膜欠損症はまれな疾患で欠損孔周囲や心囊内などに癒着を認める場合があり,慎重な手術操作を要する.症例は70歳,男性.胸部大動脈瘤精査のCTで前縦隔腫瘍を認めた.精査の結果,抗アセチルコリン受容体抗体陽性胸腺腫の診断で,両側胸腔鏡+頸部アプローチによる拡大胸腺摘出術の方針となった.術中所見では,左心耳が露出し,その他の部位の露出はなく左心膜部分欠損症と判明した.胸腺を心囊から剝離する際に心膜を損傷した.心囊内癒着のため,心膜損傷時に右房損傷をきたし縫合止血を要した.術後経過は良好で術後7日目に退院し,現在術後55か月無再発生存中である.
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