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文献詳細

雑誌文献

臨床外科78巻3号

2023年03月発行

文献概要

臨床報告

拡大胸腺摘出術中に心損傷をきたした先天性左心膜欠損症の1例

著者: 佐々木明洋1 加藤弘明1 久保田玲子1 阿部大1 成田吉明1

所属機関: 1手稲渓仁会病院胸部外科

ページ範囲:P.370 - P.373

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要旨
先天性心膜欠損症はまれな疾患で欠損孔周囲や心囊内などに癒着を認める場合があり,慎重な手術操作を要する.症例は70歳,男性.胸部大動脈瘤精査のCTで前縦隔腫瘍を認めた.精査の結果,抗アセチルコリン受容体抗体陽性胸腺腫の診断で,両側胸腔鏡+頸部アプローチによる拡大胸腺摘出術の方針となった.術中所見では,左心耳が露出し,その他の部位の露出はなく左心膜部分欠損症と判明した.胸腺を心囊から剝離する際に心膜を損傷した.心囊内癒着のため,心膜損傷時に右房損傷をきたし縫合止血を要した.術後経過は良好で術後7日目に退院し,現在術後55か月無再発生存中である.

参考文献

1)花岡 淳,藤野昇三,井上修平,他:原発性肺癌手術時に発見された先天性心膜欠損症の1例.日呼外会誌14:750-754,2000
2)Columbus MR:De re anatomica, vol. XV. Venice, 1559 pp 265-269
3)松倉豊治:珍しい心囊奇形.日医新報1491:3936-3938,1952
4)中村 威,関みな子,宮崎真一郎,他:胸腔鏡手術時に発見された左心膜欠損の1例.日臨外会誌66:2113-2116,2005
5)浜口伸正,藤島則明,谷田信行,他:原発性自然気胸に併発した心囊気腫により発見された先天性心膜部分欠損症の1例.日呼外会誌16:45-48,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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