文献詳細
手術器具・手術材料—私のこだわり・16
食道裂孔からの中下縦隔術野展開におけるatrial retractor(心囊鉤)の役割
著者: 瀬戸泰之1
所属機関: 1東京大学消化管外科
ページ範囲:P.612 - P.613
文献概要
われわれは,食道癌に対する非開胸・非胸腔アプローチを,片肺換気麻酔不要no one-lung ventilation esophagectomy with lymphadenectomy(NOVEL)として,2012年から行ってきた.当初は開腹創からda Vinci armを経裂孔的に挿入し,視野展開のため特注の柄の長い鉤を入れて心囊を圧排(挙上)し術野を確保した.心拍出量低下による血圧低下が術中しばしば発生し,そのつど手術を中断し,血圧の回復を待ったものである.15例目からは気腹下da Vinci armを挿入したが,やはり術野展開が課題であった.そんな状況で,atrial retractorがわれわれの術式における視野展開に有用なのではないかとのアドバイスをいただいた.確かに非常に有用であり,今日まで270例のロボット支援縦隔鏡食道悪性腫瘍手術を行ってきたが,不可欠の手術器具になっている.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年5月末まで)。
参考文献
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