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文献詳細

雑誌文献

臨床外科79巻3号

2024年03月発行

特集 外科医必携 患者さんとのトラブルを防ぐためのハンドブック

総論

ガイドラインと医療訴訟

著者: 橋口陽二郎1

所属機関: 1大森赤十字病院

ページ範囲:P.260 - P.263

文献概要

【ポイント】
◆ガイドラインは,患者に適切な医療を提供するための指針を示している.これに従うことで,訴訟リスクを低減することが期待される.もしガイドラインに反する医療を提供した場合,それが原因で発生する医療過誤に関連する訴訟リスク,過誤認定のリスクが高まる可能性がある.
◆あくまでガイドラインは一般的な患者や症例を対象にしたものであり,すべてのケースに当てはまるわけではない.医師は患者の個別な状態やニーズを考慮する必要がある.患者に対して適切なケアを提供するために,ガイドラインに沿っていない医療を提供する場合には,患者の同意とその判断の理由づけが重要である.
◆医療の進歩や新しいエビデンスの出現に伴い,診療ガイドラインは定期的に見直され更新される.医師には最新の情報に基づいて患者にケアを提供する責任がある.これが怠られ,過去のガイドラインに基づいて行動した場合,訴訟リスクが発生する可能性がある.
◆ガイドラインはあくまで一つの参考として捉えるべきであり,患者の個別な状態や医師の臨床的な判断も考慮されるべきである.あくまでガイドラインを遵守することがすべてではなく,患者の状態に応じて適切な医療判断を行うことが求められる.

参考文献

1)Eddy DM:Clinical decision making:from theory to practice. Designing a practice policy. Standards, guidelines, and options. JAMA 263:3077, 3081, 3084, 1990
2)大腸癌研究会編:大腸癌治療ガイドライン2022年版医師用,金原出版,東京,2022.
3)桑原博道,淺野陽介:特別寄稿2,ガイドラインと医療訴訟について—弁護士による211の裁判例の法的解析—.Minds診療ガイドライン作成マニュアル.小島原典子,中山健夫,森實敏夫,山口直人,吉田雅博編.公益財団法人日本医療機能評価機構.2015,http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/guideline/special_articles2.pdf,2023年12月1日参照

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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