icon fsr

雑誌目次

雑誌文献

臨床外科79巻6号

2024年06月発行

雑誌目次

特集 結腸左半切除を極める

ページ範囲:P.609 - P.609

 大腸切除術において,直腸切除と同様に高難度手術に挙げられるのが結腸左半切除術である.頻度の少なさもさることながら,脾臓・膵臓など,ひとたび損傷を起こすと対応に難渋する部位にあることや,支配血管やリンパ流の理解の難しさ,慣れない結腸-結腸吻合など,困難となる要因は多岐にわたる.これらは特に,低侵襲化により操作を体腔内という狭い空間で行うことによって,さらに難度が増したように感じる.本特集では結腸左半切除の手術手技について,若手外科医に向け,ありがちな困難症例への対処法を含めてエキスパートの先生方に伝授していただいた.

総論

結腸左半切除術に必要な解剖

著者: 渡邉純 ,   諏訪雄亮 ,   小澤真由美 ,   遠藤格

ページ範囲:P.610 - P.614

【ポイント】
◆進行癌に対して結腸左半切除術を施行する際にはD3郭清,もしくは,特に脾彎曲部癌においてはCentral vascular ligation(CVL)を伴うComplete mesocolic excison(CME)を施行することが,長期成績向上のために重要である.
◆CMEの3つのcomponentsの1つに“Dissection in the embryological plane to remove a complete envelope”が提唱されている.Embryological planeに沿った腸間膜の後腹膜からの剝離は,CMEの重要な構成要素の1つである.
◆Embryological planeに沿った腸間膜の後腹膜からの剝離のためには,周囲臓器の位置関係と剝離層に対する解剖学的理解が重要である.

手技各論

脾彎曲部授動のコツ:外側アプローチ

著者: 廣瀬淳史 ,   羽田匡宏 ,   倉田徹 ,   西田洋児 ,   柄田智也 ,   天谷公司 ,   加治正英

ページ範囲:P.616 - P.621

【ポイント】
◆下行結腸の外側アプローチは外側円錐筋膜に沿って切開剝離し,横隔結腸靱帯を切離し,脾臓の確認を目安に行う.
◆脾臓と左結腸曲の間で大網が集簇して形成される脾結腸間膜は,脾損傷予防に左結腸曲外側縁に沿って切開を行う.
◆膵下縁の切開は,膜構造を意識して行うことが重要と考える.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年6月末まで)。

脾彎曲部授動のコツ:内側アプローチ

著者: 永吉絹子 ,   水内祐介 ,   藤本崇聡 ,   田村公二 ,   中村雅史

ページ範囲:P.622 - P.626

【ポイント】
◆脾彎曲部結腸周囲の解剖構造を熟知することで,安全な脾彎曲部授動操作が可能となる.
◆結腸腸間膜背側と腎筋膜との間の疎性結合組織の層は解剖学的に分離しやすく,内側アプローチでは最適な外科的剝離層である.
◆内側アプローチによる腸間膜背側は術野に適切な緊張をかけながら深部まで剝離を進め,頭側は膵下縁,外側は左腎上極〜外側を目安に剝離範囲を広げておく.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年6月末まで)。

脾損傷の対処方法

著者: 早田啓治 ,   尾島敏康

ページ範囲:P.628 - P.632

【ポイント】
◆脾損傷を起こす原因は牽引によるものがほとんどであるため,愛護的な操作,生理的癒着の先行切離が重要である.
◆電気凝固,局所止血剤についての原理と特性を十分に理解し,段階的な止血を行う.
◆容易な脾摘は避けるべきであるが,脾摘を行った場合は術後のメンテナンスが必要となる.

膵損傷の対処方法

著者: 川井学 ,   岩本博光 ,   清水敦史

ページ範囲:P.633 - P.638

【ポイント】
◆結腸左半切除における膵損傷は,内側アプローチにおける左結腸間膜の頭側への剝離あるいは脾彎曲部の授動の際に起こりうる.
◆膵被膜損傷時は損傷部位への適切な位置にドレーン留置を行う.膵実質損傷を認めるときは膵縫合あるいは膵尾部切除を考慮する.
◆膵損傷を認めたときは,術後膵液瘻から吻合部の二次的な縫合不全が発生する可能性があるので,ドレーン観察を厳重に行う.

結腸左半切除の吻合法:体腔外吻合

著者: 藤井能嗣 ,   平能康充 ,   芥田壮平 ,   大和美寿々 ,   吉澤政俊 ,   岡崎直人 ,   石山泰寛 ,   出口勝也 ,   平沼知加志

ページ範囲:P.640 - P.643

【ポイント】
◆十分な授動によって,吻合に緊張がかからないようにする.
◆血流の確認(可能であればICG蛍光法を行う),適切な補強を行う.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年6月末まで)。

結腸左半切除の吻合法:体腔内吻合

著者: 髙田直樹 ,   塚本俊輔 ,   永田洋士 ,   髙見澤康之 ,   森谷弘乃介 ,   金光幸秀

ページ範囲:P.644 - P.648

【ポイント】
◆腸管切除の際には直動脈を損傷しないように行う.
◆デルタ吻合の後壁吻合時はステープル挿入長を50 mm程度とする.
◆デルタ吻合のエントリーホール閉鎖はステープル1発で行う.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年6月末まで)。

ロボット支援結腸左半切除後の腸間膜閉鎖

著者: 谷田部悠介 ,   賀川弘康 ,   塩見明生 ,   眞部祥一 ,   山岡雄祐 ,   田中佑典 ,   笠井俊輔

ページ範囲:P.650 - P.654

【ポイント】
◆結腸左半切除術術後の腸間膜欠損部の内ヘルニアの発生頻度は,ほかの大腸切除の術式と比較して高い.
◆腸間膜閉鎖を行う際には,小腸を排除し腸間膜欠損部を良好な術野で展開し,完成形をイメージする.
◆腸間膜閉鎖においては血管損傷と不完全な腸間膜閉鎖に注意が必要である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年6月末まで)。

各施設の手術手技

下行結腸癌に対する腹腔鏡下結腸左半切除術

著者: 上嶋徳 ,   大塚幸喜 ,   廣純一郎 ,   升森宏次 ,   松岡宏 ,   鄭栄哲 ,   大村悠介 ,   稲熊岳 ,   小林陽介 ,   服部豊 ,   辻村和紀 ,   幸部𠮷朗 ,   隈本力 ,   近石裕子 ,   須田康一 ,   宇山一郎

ページ範囲:P.655 - P.661

【ポイント】
◆下行結腸癌に対する内側アプローチは,剝離の終着点としてのメルクマールの設定が重要である.
◆剝離,郭清中は,IMAの存在に留意した鉗子操作を心掛ける.
◆空腸を結腸間膜に縫合固定することで内ヘルニアを予防できる.

結腸脾彎曲部癌に対する腹腔鏡下結腸左半切除術

著者: 岩本哲好 ,   川村純一郎

ページ範囲:P.662 - P.668

【ポイント】
◆結腸脾彎曲部癌では,左結腸動脈,中結腸動脈左枝,副中結腸動脈の郭清手技と必要性をよく検討する必要がある.
◆頭側アプローチで上腸間膜動脈周囲の郭清上縁を決めておくことで,尾側からの郭清を安全に行うことができる.
◆内側アプローチではToldt's fusion fasciaを同定し,広く剝離しておく.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年6月末まで)。

ロボット支援結腸左半切除術—剝離層を意識した視野展開の工夫

著者: 髙橋広城 ,   藤井善章 ,   渡部かをり ,   柳田剛 ,   鈴木卓弥 ,   牛込創 ,   小川了 ,   松尾洋一 ,   瀧口修司

ページ範囲:P.670 - P.677

【ポイント】
◆結腸左半切除に対するポート配置はいまだに定型化されていない.各施設での工夫が報告されており,今後の定型化が望まれる.
◆Complete mesocolic excision(CME)を確実に行うために,リトラクションアームによるトラクションを有効に活用し,癒合筋膜・後腹膜下筋膜をメルクマールとした剝離層を明確にしつつ手術を進める.
◆脾彎曲授動の際には膵前筋膜を温存した層での剝離を心掛け,膵臓を愛護的に扱うことで術後の合併症予防につながる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年6月末まで)。

ロボット支援結腸左半切除術のアプローチ法と手技

著者: 髙岡亜弓 ,   絹笠祐介

ページ範囲:P.678 - P.682

【ポイント】
◆適切なポート配置を心掛け,術式の定型化を行うことでよりスムーズな手術が可能となる.
◆膵や横行結腸の損傷に注意が必要である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年6月末まで)。

腹壁ヘルニア修復術道場・1【新連載】

腹壁ヘルニア手術のアルゴリズムと現状

著者: 諏訪勝仁

ページ範囲:P.684 - P.689

連載の目的
 腹壁(瘢痕)ヘルニアは患者状況,ヘルニア環境(汚染,部位,サイズなど)によって,その修復法は多様である.また,対峙する外科医の知識や技量によって,術式選択が変わることは明白である.この連載では,一般外科医に向け,腹壁(瘢痕)ヘルニア治療のエキスパートがエビデンスや自らの経験から,様々な状況下で考えるべき治療方針について解説する.読者の先生方には,ぜひ本道場の門をたたき,最終回まで志高くついてきてほしい.

病院めぐり

群馬県立がんセンター消化器外科

著者: 尾嶋仁

ページ範囲:P.690 - P.690

 群馬県立がんセンターは群馬県県庁所在地の前橋市より南東に約30 km離れた太田市に位置し,埼玉県,栃木県に接した人口約22万の地方都市にあります.SUBARUを中心とした工業都市で,夏は猛暑日が続き,冬は「からっ風」という冷たく乾燥した強い季節風が吹きますが,自然災害は比較的少ない場所にあります.
 群馬県立がんセンターは1955年に結核予防対策の一環として設置された「群馬県立東毛療養所」に始まり,その後の結核の衰退にともない,1965年4月から一般診療科を加えて「群馬県立東毛病院」と改称,さらに1972年4月「群馬県立がんセンター東毛病院」,そして1998年4月「群馬県立がんセンター」と改称され現在に至っています.

FOCUS

膵癌取扱い規約第8版 改訂のポイント

著者: 吉富秀幸

ページ範囲:P.691 - P.695

はじめに
 悪性腫瘍に対する診断,治療法は施設間での方針が異なることもある.このような診療の成績を比較検討して評価することは,その進歩に欠かせないステップである.また,多くの施設の治療成績をまとめることも重要な課題である.このような評価のためには背景因子,治療方法などを合わせた状態で評価する必要がある.そのため,診療結果を記録する際の共通の基準,約束事を定める必要がある.このような目的のため,国内外の学会や学術団体から規約(Classification)が発刊されている.国際的には国際対がん連合(UICC)のTNM分類1)が使われることが多いが,本邦からも,各専門学会により癌種ごとに独自の視点も含めた癌取扱い規約が発刊され,臨床現場で広く使用されている.
 日本膵臓学会(JPS)も1980年に「外科・病理 膵癌取扱い規約(第1版)」を発刊した.その後,時代の変遷に合わせた改訂を行い,2023年7月に海野倫明委員長のもと第8版2)に改訂を行った(以下,日本膵臓学会からの規約はJPS版と記載).そこで本稿では,今回の改訂のポイントとなる点を解析する.

臨床報告

ステロイドの短期投与で寛解した乳癌術後ペグフィルグラスチム誘発大型血管炎の1例—67報告例の検討

著者: 小林達則 ,   上山聰

ページ範囲:P.697 - P.702

要旨
症例は68歳,女性.左乳癌,T2N0M0,StageⅡAに対して乳房全切除とセンチネルリンパ節生検施行.術後,ペグフィルグラスチム併用EC 4コース目のday 13に白血球とCRPの増加を伴い抗菌薬に反応しない発熱をきたした.CT検査にて大動脈弓部とその分枝血管の壁肥厚と周囲脂肪織の濃度上昇を認め,ペグフィルグラスチム誘発大型血管炎と診断.発症3日目から漸減期間を含めて2週間の短期のステロイド投与にて速やかに臨床症状,炎症反応やCT所見が軽快した.顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)製剤を併用した化学療法後の発熱や炎症反応の亢進時には,大型血管炎の鑑別のため速やかなCT検査を要し,治療はG-CSF製剤の中止とステロイドの短期投与が有効である.

授乳期うっ滞性乳腺炎から乳腺膿瘍に至った症例の起炎菌についての検討

著者: 花井雅志

ページ範囲:P.703 - P.708

要旨
授乳期うっ滞性乳腺炎の多くは患側での授乳や葛根湯などの内服,乳房マッサージで改善することが多い.しかしながら,乳腺膿瘍に至るまで悪化し,穿刺吸引や切開排膿を要する症例を時に経験する.当院では開院後8年9か月で授乳期うっ滞性乳腺炎から乳腺膿瘍に至った症例で穿刺吸引もしくは切開排膿を施行した症例を50例経験した.全例において膿汁の細菌培養を行っており,今回,その起炎菌について検討したので報告する.

書評

—中野 隆(監訳) 中野 隆,中谷壽男,大野伸彦,内藤宗和,林 省吾,易  勤,山岡 薫,伊藤正裕,若山友彦(訳)—プロメテウス解剖学エッセンシャルテキスト 第2版

著者: 川嶌眞人

ページ範囲:P.627 - P.627

 本書は,前野良沢らが『ターヘル・アナトミア』を翻訳して以来の画期的な解剖書ではないか.評者が居住している大分県中津市は,根来東叔,前野良沢,村上玄水,田原淳など,解剖に関する優れた学者を輩出してきた.日本のヘーゲルとも称される三浦梅園は「解剖なくしては人間と自然とのつながりや有機的な病気との関係は解明されてない」と述べ,また日本最初の人骨図「人身連骨真形図」を描いた根来東叔は「眼球の解剖を知らないで治療をするのは闇夜に光なくして歩くのと同じ」と,解剖の重要性を述べている.そのような中,前野良沢は杉田玄白らと蘭語の解剖書『ターヘル・アナトミア』の翻訳に着手した.翻訳の大半は良沢が担い,1774年には日本最初の本格的な解剖書として玄白が出版した.玄白は序文凡例で「解体は医学の基礎であり,外科では緊急欠くべからざるものである」と述べているが,本書を読むと,まさに玄白と同じ思いを抱くものである.この『解体新書』をきっかけに,解剖を中心とした蘭学の研究は日本全体に広がった.東京,築地の聖路加国際病院前の中津藩中屋敷跡には,良沢らの功績を称える碑が今でも残されている.
 あらためて,世界の解剖史を振り返ってみよう.元来解剖というものは,人体という未知のものへの好奇心,真理追求の熱情を持って,実証主義と科学への挑戦を行うことで医学・医療の発展に貢献してきた.しかしながら,古代ローマのガレノス,古代ギリシャのヒポクラテスも,解剖の重要性に気付いてはいたものの人体の解剖まではできなかった.13世紀初頭のイタリアでモンディーノが人体解剖を行い『解剖学』という著書を残したこと,またルネサンス期にレオナルド・ダ・ヴィンチが30体もの人体解剖を行い,779枚もの解剖図を残したことは極めて画期的なことであったが,正確な解剖書としてはアンドリアス・ヴェサリウスの解剖学書『ファブリカ』(1543年)を待つこととなった.評者はファブリカの実物を見た際に,その精密さが今日の人体解剖の水準と大きな差が無いことに驚いた.日本では山脇東洋が1754年に京都で初めて人体解剖を行い,1774年に『解体新書』が出版された.中津では,村上玄水や田原淳などが現在の心電図やペースメーカーの元となる刺激伝導系の発見に至ったことはよく知られている.

—窪田忠夫(著)—急性腹症の診断レシピ—病歴・身体所見・CT

著者: 池上徹則

ページ範囲:P.638 - P.638

 窪田忠夫先生の新刊は相変わらず刺激的で,読み進めるうちに何度も納得してうなずきました.まず冒頭の「序」では,「腹痛の原因を検索するのにCTがとても有用だから」「病歴聴取と身体所見は診断しようとして行われていない」という記述が目に留まります.これはきっと,指導する立場の先生方が常日ごろからお感じになっていることでしょう.
 腹部診療は,解剖が複雑な上にさまざまな主訴を時間軸と掛け合わせて考える必要があり,初学者に限らず苦手にしている人は多いと思います.そのような中,著者は腹痛を,上腹部痛,下腹部痛,腹部全般痛の3つのカテゴリーに分けて考えることを提案します.そして重要な鑑別疾患を列挙する一方で,「鑑別に挙げなくてもよい」と言い切る疾患に関しては,「どうしてそうなのか」を丁寧に解説していきます.例えば,多くの類書では「主訴:腹痛」で鑑別疾患を挙げる際に,本当に重要な「主訴」と,腹痛はあるが「主訴」とまでは言えないものが混在している場合があります.本書では,肝膿瘍を例に挙げて,この点を詳しく説明しているのですが,非常に納得しやすいです.その後,年齢,性別,基礎疾患を軸に話が進みますが,それは熟練した外科医がベッドサイドで所見をひもといて解説するような丁寧さであり,数々の至言にあふれています.

—北川雄光(監修) 宮澤光男,竹内裕也(編集)—消化器内視鏡外科手術バイブル—動画で学ぶハイボリュームセンターの手技

著者: 平野聡

ページ範囲:P.649 - P.649

 「手術は手術室に行って覚えよ」とは,外科医にとって絶対的な教えであった.あえて術野に入らない立場で,術者や助手の一挙手一投足を目に焼き付け,その手術室の雰囲気を含めて肌で感じることは,「手術が上手くなりたい外科医」にとって必須の行いと目されていた.しかし本書は,その不文律を塗り替えるかのごとき大著である.
 「コロナ禍」により移動が制限された数年間を経験し,さらに働き方改革で外科医の時間の使い方に変化が生じる中,多くの修練医がエキスパートによる手術映像を渇望している.確かに,昨今,外科系学会では多くの手術動画が供覧されるようになったが,短時間の口演では繰り返し学習は困難であり,エキスパートの考え方やデバイス選択の理由など,詳細情報を欠くことが常である.そのような背景を的確に認識し出版されたのが本書であり,消化器内視鏡手術全般を,実に368本を数える動画と豊富な紙面情報により読者にオンデマンドで提供してくれる点において他に比肩するものがない.

--------------------

目次

ページ範囲:P.606 - P.607

原稿募集 「臨床外科」交見室

ページ範囲:P.668 - P.668

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.712 - P.712

次号予告

ページ範囲:P.713 - P.713

あとがき

著者: 絹笠祐介

ページ範囲:P.714 - P.714

 新年度を迎え,いよいよ医師の働き方改革がスタートしました.ブラック企業そのものと言われる大学ですら,急速に改革が行われています.当教室では「働き方改革に仕方なく合わせるのではなく,働き方改革よりも率先して環境整備を行い,日本一ホワイトな医局を目指す」をモットーに環境整備を行っています.試行錯誤の段階ではありますが,その効果も徐々に実績として表れてきており,外科医数も年々増加し,また,女性外科医も3割を占めるようになりました.一匹狼でバリバリやるのも良いですが,長い人生においては様々なイベントが予想の有無を問わず起こります.その際にサポートし合える環境こそ,医局の最大の強みだと思っています.10年バリバリ働いて力尽きるのではなく,場合よっては3年,5年とペースを落とした生活を送りながら,40年外科というやりがいのある仕事を続けてもらうことが,教室員に対する私からの願いです.

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

雑誌購入ページに移動

バックナンバー

78巻13号(2023年12月発行)

特集 ハイボリュームセンターのオペ記事《消化管癌編》

78巻12号(2023年11月発行)

特集 胃癌に対するconversion surgery—Stage Ⅳでも治したい!

78巻11号(2023年10月発行)

増刊号 —消化器・一般外科—研修医・専攻医サバイバルブック—術者として経験すべき手技のすべて

78巻10号(2023年10月発行)

特集 肝胆膵外科 高度技能専門医をめざせ!

78巻9号(2023年9月発行)

特集 見てわかる! 下部消化管手術における最適な剝離層

78巻8号(2023年8月発行)

特集 ロボット手術新時代!—極めよう食道癌・胃癌・大腸癌手術

78巻7号(2023年7月発行)

特集 術後急変!—予知・早期発見のベストプラクティス

78巻6号(2023年6月発行)

特集 消化管手術での“困難例”対処法—こんなとき,どうする?

78巻5号(2023年5月発行)

特集 術後QOLを重視した胃癌手術と再建法

78巻4号(2023年4月発行)

総特集 腹壁ヘルニア修復術の新潮流—瘢痕ヘルニア・臍ヘルニア・白線ヘルニア

78巻3号(2023年3月発行)

特集 進化する肝臓外科—高難度腹腔鏡下手術からロボット支援下手術の導入まで

78巻2号(2023年2月発行)

特集 最新医療機器・材料を使いこなす

78巻1号(2023年1月発行)

特集 外科医が知っておくべき! 免疫チェックポイント阻害薬

icon up
あなたは医療従事者ですか?