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雑誌目次

雑誌文献

臨床外科79巻8号

2024年08月発行

雑誌目次

特集 合併症を起こさない食道癌手術!—ハイボリュームセンターの技を学ぼう

ページ範囲:P.839 - P.839

 食道癌治療では手術がその中心になっているが(Stage Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ),術後合併症の頻度がいまだ高いことが報告され,それが重要な課題になっている.National Clinical Databaseのannual reportではその頻度は20%を超え,最も侵襲の大きな手術となっている.また,施設あたりの手術件数によって入院死亡率に差があることも報告されており,術後合併症発生が予後に影響を及ぼすことも知られている.本特集では,わが国のハイボリュームセンターの技から合併症発生を極力起こさないコツを学んでいただくことを目的に,合併症の中でも頻度の高い反回神経麻痺,縫合不全を中心として,各施設が行っている工夫などを含めて解説していただいた.食道癌手術をこれからめざしている若手のみならず,日頃行っている先生方の一助になれば幸いである.

食道癌術後合併症の現況

National Clinical Databaseからみる食道癌術後合併症と手術死亡率

著者: 掛地吉弘 ,   渡邊雅之 ,   河野浩二 ,   上野秀樹 ,   土岐祐一郎 ,   北川雄光 ,   竹内裕也 ,   調憲 ,   瀬戸泰之

ページ範囲:P.840 - P.844

【ポイント】
◆National Clinical Database(NCD)のフィードバック機能により食道切除術後合併症および死亡率の予測ができ,術前カンファレンスやインフォームド・コンセントに活用できる.
◆一人の経験豊かな外科医よりも,施設として多くの症例を治療しているチーム医療のほうが手術死亡率を下げている可能性が示唆されている.
◆術前治療の種類によらず,胸腔鏡下食道切除術は開胸手術に比べて術後合併症の発症率と手術死亡率が優れているか同等であった.

食道癌術後合併症と予後

著者: 坊岡英祐 ,   竹内裕也

ページ範囲:P.845 - P.849

【ポイント】
◆食道癌術後合併症は有意に予後を悪化させる.
◆胸腔鏡下食道切除術やロボット支援食道切除術が急速に広まってきている.
◆救済手術(salvage surgery)や転向手術(conversion surgery)の安全性が向上し,施行される機会が増加してきている.

各施設における合併症を起こさない技と工夫

国立がん研究センター中央病院の技と工夫—神は細部に宿る

著者: 石山廣志朗 ,   野崎良子 ,   伊賀上翔太 ,   宇都宮大地 ,   久保賢太郎 ,   栗田大資 ,   小熊潤也 ,   大幸宏幸

ページ範囲:P.851 - P.855

【ポイント】
◆反回神経の神経上膜(well-accentuated space)に沿って,神経に平行方向の鋭的剝離を心掛ける.
◆吻合に関して,吻合法のみならず,胃管作成・挙上性など複合的な要因が縫合不全に影響する.
◆細部への妥協なきこだわりが合併症軽減につながる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

国立がん研究センター東病院の技と工夫

著者: 藤田武郎 ,   佐藤和磨 ,   梶山大介 ,   久保祐人 ,   大幸宏幸

ページ範囲:P.856 - P.862

【ポイント】
◆標準的郭清における左反回神経麻痺予防のための左上縦隔郭清.
◆注意すべき症例における左反回神経周囲郭清の工夫と手技.
◆縫合不全回避とQOLを考えた再建法の手技と工夫.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

恵佑会札幌病院の技と工夫—反回神経麻痺・縫合不全を防ぐための当院の工夫

著者: 吉川智宏 ,   北山陽介 ,   坂下啓太 ,   北上英彦 ,   西田靖仙 ,   久須美貴哉 ,   細川正夫

ページ範囲:P.864 - P.870

【ポイント】
◆Collard変法による縫合不全発生率は7.8%であり,10〜15分で施行できる優れた吻合法である.
◆吻合手技だけでなく,胃の減圧や胃管血流なども重要である.
◆反回神経麻痺を防ぐために,症例により縦隔内からの操作だけでなく,頸部からの操作が必要である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

大阪国際がんセンターの技と工夫—鏡視下食道切除術による上縦隔リンパ節郭清と胃管再建法

著者: 菅生貴仁 ,   松浦記大 ,   金村剛志 ,   宮田博志

ページ範囲:P.871 - P.878

【ポイント】
◆上縦隔リンパ節郭清では,腫瘍学的な根治性と機能性保持の両面が求められる.
◆反回神経への過度な牽引・屈曲・接触は避け,神経に沿った郭清を行う.
◆Collard変法による食道胃管吻合は,術後吻合部関連合併症を減らす可能性がある.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

がん研究会有明病院食道外科の技と工夫—食道切除・再建術における反回神経麻痺および縫合不全軽減のための手技のコツと工夫

著者: 高橋直規 ,   金森淳 ,   岡村明彦 ,   栗山健吾 ,   寺山仁祥 ,   田村真弘 ,   今村裕 ,   渡邊雅之

ページ範囲:P.879 - P.884

【ポイント】
◆上縦隔郭清では,反回神経・反回神経食道枝を広く包む疎性結合織を利用した「自然で適度な緊張」のある術野展開が重要である.
◆定型化された三角吻合は,縫合不全をきたしにくい安全な再建方法である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

昭和大学の技と工夫—若手食道外科医でもできる,反回神経麻痺,縫合不全ゼロをめざした手技

著者: 大塚耕司 ,   山下剛史 ,   有吉朋丈 ,   岸本裕 ,   斎藤祥 ,   広本昌裕 ,   村上雅彦

ページ範囲:P.885 - P.890

【ポイント】
◆反回神経上に薄い疎性結合組織を残すことで,人工気胸圧がその層自体を圧排し,正常な位置から神経が動かずに剝離可能となる.
◆神経周囲剝離では,鉗子の向きに注意する.神経周囲での超音波凝固切開装置の使用は,拡大視を上手に使用すれば安全に使用可能である.
◆食道胃吻合の際は,吻合部にかかる緊張をフリーにして吻合を完成することが大切である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

大阪大学医学部附属病院の技と工夫

著者: 山下公太郎 ,   百瀬洸太 ,   西塔拓郎 ,   田中晃司 ,   牧野知紀 ,   山本和義 ,   高橋剛 ,   黒川幸典 ,   土岐祐一郎

ページ範囲:P.892 - P.896

【ポイント】
◆当院における胸腔鏡下上縦隔郭清,食道胃管吻合(Collard変法)の手技について概説した.
◆上縦隔郭清では右迷走神経断端の牽引や食道の2点テーピングを活用し,反回神経を中心とした適切な術野展開を行うことが反回神経麻痺の予防に重要である.
◆腹部操作では上腹部の切開をおかずに胃管を挙上し,頸部吻合を実施することにより肺炎予防につながる可能性がある.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

岡山大学病院の技と工夫

著者: 野間和広

ページ範囲:P.897 - P.905

【ポイント】
◆反回神経周囲のリンパ節郭清においては,郭清組織の間膜化からの反回神経の同定と,神経に適度な緊張をかけた郭清手技が重要である.
◆胃管を用いた食道再建においては,壁内血流を重要視した胃管作製と吻合部に緊張がかからない手技が重要である.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

愛知県がんセンターの技と工夫—ICG蛍光法による胃管血流評価とCollard変法を組み合わせた胸腔鏡・腹腔鏡手術による安全かつ根治的な低侵襲食道手術

著者: 安部哲也 ,   檜垣栄治 ,   藤枝裕倫 ,   伊藤誠二 ,   小森康司 ,   清水泰博

ページ範囲:P.906 - P.913

【ポイント】
◆反回神経麻痺の原因には反回神経分枝(気管枝,食道枝)を介した直接的な牽引があり,郭清操作終了後,速やかに分枝を切離し,牽引を解除することが重要である.
◆ICG蛍光法による胃管血流評価は右胃大網動脈造影後20秒以内に造影された範囲で吻合を行うことで縫合不全を予防する.
◆Collard変法における後壁の切離長は35〜40 mmで行い,前壁はできるだけ水平方向に胃管断端を伸展しながら吻合することで,広い吻合孔が確保され,吻合部狭窄を予防する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

名古屋大学腫瘍外科の技と工夫

著者: 宮田一志 ,   杉田静紀 ,   江畑智希

ページ範囲:P.914 - P.919

【ポイント】
◆反回神経麻痺を防ぐためには,愛護的操作と神経の素早い同定が重要である.
◆縫合不全を起こさないためには,多くのポイントの積み重ねが重要である.
◆胃管の血流の良い部分でこねずに吻合する.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

縦隔鏡手術における合併症を起こさない技と工夫

京都府立医大の技と工夫—神経モニタリング知見に基づく反回神経麻痺を起こさない郭清のコツ

著者: 藤原斉 ,   塩崎敦 ,   小西博貴 ,   西別府敬士 ,   大橋拓馬 ,   窪田健 ,   大辻英吾

ページ範囲:P.920 - P.926

【ポイント】
◆持続神経モニタリングの術中術後の有効活用により,反回神経麻痺リスクに配慮した縦隔リンパ節郭清が可能となる.
◆縦隔操作早期の大動脈弓部での反回神経の露出により,神経走行に配慮した,より安全な剝離とリンパ節郭清が可能となる.
◆メリーランドタイプのエネルギーデバイスと剝離専用鉗子を適切に使い分けることで,縦隔解剖の特性に応じた合理的な剝離が可能となる.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

東大病院の技と工夫—縦隔鏡下食道切除で術中他臓器損傷を起こさないためのポイント

著者: 八木浩一 ,   谷島翔 ,   淺岡礼人 ,   菅原弘太郎 ,   大矢周一郎 ,   岡本麻美 ,   三輪快之 ,   瀬戸泰之

ページ範囲:P.928 - P.934

【ポイント】
◆縦隔鏡下食道切除を安全に施行するためには,他臓器損傷を起こさないようにすることが最も重要である.
◆特に気管・気管支・下肺静脈を損傷しないように手術操作を行う必要がある.
◆解剖学的なanomalyの有無を含めて術前CTを読影し,細心の注意を払い手術に臨む必要がある.
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2027年8月末まで)。

腹壁ヘルニア修復術道場・3

腹壁瘢痕ヘルニア手術のための腹壁解剖

著者: 諏訪勝仁

ページ範囲:P.935 - P.942

はじめに
 腹壁瘢痕ヘルニア修復術のゴールは,再発や合併症の低減だけでなく,腹壁機能の再構築を視野に入れる必要がある.最近のガイドラインでは,この術式について,ヘルニア門閉鎖後にメッシュを留置することを推奨している.大きな筋層欠損閉鎖にコンポーネントセパレーションは必須であり,このためには腹壁構造をより詳細に理解する必要がある.

病院めぐり

近森病院消化器外科

著者: 塚田暁

ページ範囲:P.943 - P.943

 高知市は,四国南部のほぼ中央部に位置し,高知県の県庁所在地であり人口が31万7千人の都市です.高知県は東西に170 kmと長い県ですが,県中央部の高知市に県内にある3次救急病院の3施設すべてがあり,隣の南国市に高知大学医学部附属病院があるので中央部に高度医療提供施設が集まってます.
 近森病院は,昭和南海地震の起きた1946年12月21日の3日後の12月24日に近森外科として8床で開院しました.1964年に救急病院告示されてから救急医療に力を入れてきています.2011年に高知県より救命救急センターの指定を受けており,3次救急医療機関の1つです.現在は,一般病床429床,精神病床60床の合計489床,32診療科で診療しております.

臨床報告

女性化乳房と初期診断された大胸筋未分化多型肉腫の1例

著者: 館花明彦 ,   國又肇 ,   大野晃一 ,   井上泰

ページ範囲:P.944 - P.947

要旨
未分化多型肉腫は,軟部組織において経験される稀な悪性腫瘍である.症例は62歳,男性.近医で右片側性女性化乳房と初期診断され経過観察となったが,短期間での増大と生活への支障から手術となった.長径15 cm大の境界明瞭な腫瘤が摘出され,大胸筋未分化多型肉腫と診断された.本疾患は手術以外に確立された治療法は報告されていない.文献的考察を加えて報告する.

書評

—中野 隆(監訳) 中野 隆,中谷壽男,大野伸彦,内藤宗和,林 省吾,易  勤,山岡 薫,伊藤正裕,若山友彦(訳)—プロメテウス解剖学エッセンシャルテキスト 第2版

著者: 本郷一博

ページ範囲:P.849 - P.849

 愛知医科大学医学部名誉教授の中野隆先生監訳による『プロメテウス解剖学エッセンシャルテキスト』の待望の第2版が刊行された.本書はAnne M. Gilroy氏により著されたAnatomy:An Essential Textbook(3rd Edition)を,単に原書の和訳にとどまらず,豊富な美しくわかりやすいアトラスと監訳者により全編テキストの表現法を統一された読みやすい日本語,さらに監訳者により随所に「監訳者注」として説明を加えられている点が,本書の大きな特徴といえる.
 本書は日本語で書かれた単なる解剖学のテキスト,あるいは解剖学洋書の単なる和訳書とは全く異なる.原書にも大きな特徴があり,第3版は,各部の冒頭に目次が追加され,各章とセクション,そしてその中に表や161項目に及ぶBOXが掲載され,新たな図版が第2版に比して100以上追加され,多くの図版が改訂されている.本書では,BOXが,オレンジ色で「発生学の観点」,青色で「臨床医学の視点」と色分けして挿入されており,単なる解剖学の知識のみでなく,発生学の観点,臨床医学の視点からより深く解剖を理解することができる構成になっている.解剖の内容を理解するのに有用な画像,X線写真,模式図も多く掲載されているのも特徴である.各部の終わりには,復習問題が掲載されているが,この内容も単なる解剖の知識を問うものではなく,日常臨床にも大変有益なものである.

—森田達也,白土明美(著)—死亡直前と看取りのエビデンス 第2版

著者: 田上恵太

ページ範囲:P.863 - P.863

 2023年8月より,仙台市から北に約100 km離れた地方都市にある,やまと在宅診療所登米で院長としての任務が始まりました.同僚の若手医師だけでなく,診療所の看護師や診療アシスタント,在宅訪問管理栄養士,そして同地域の緩和ケアや終末期ケアにかかわる医療・福祉従事者の仲間たちと共に,この土地で「最期までよく生きるを支える」ためにどのような学びが相互に必要かを考えるようになりました.困難に感じることを聞いてみると,亡くなりゆく方々をどのように看ていけばよいかが不安(時には怖いとの声も)との声が多く,まずは診療所内で『死亡直前と看取りのエビデンス 第2版』の共有を始めてみました.実臨床での肌実感をエビデンスで裏付けしている,まさにEBM(Evidence-Based Medicine)に沿った内容でもあり,医師や看護師など医療者たちにも強くお薦めできる内容であると感じています.
 病院看取りが主流になっていた昨今の社会情勢の影響か,これまでに死亡前の兆候を目にしたご家族やスタッフは少なく,不安や恐怖を感じることが多いです.しかし,本書でまず初めに述べられているように,多くの兆候はあらかじめ想定することが可能で,ご家族やスタッフとも事前に共有することができます.そして本書には,このような兆候がなぜ生じるのかをEBMに沿って解説されているだけでなく,緊張が高まる臨死期のコミュニケーションの工夫まで触れられており,医療者だけでなく,その他の関係者にとっても心強いリソースとなります.

—本田五郎(編) 大目祐介,本田五郎(執筆)—坂の上のラパ肝・胆・膵[Web動画付]—腹腔鏡下手術が拓く肝胆膵外科のNEWスタンダード

著者: 坂井義治

ページ範囲:P.919 - P.919

 題中の「坂の上」とは一体どういう意味なのか? この本を手にした時に,本田五郎先生が愛読していた司馬遼太郎の著書の一つ『坂の上の雲』を想った.秋山好古・真之が明治維新に陸軍騎兵部隊の創設や理論的な海戦術を考案したように,豊富なラパロ消化管手術の経験の基にラパロ肝・胆・膵手術に取り組み,その標準手技を確立した自らの体験を重ねたのだろうと推測したからである.この本の序文を読むと,私の推測は間違っていたようである.「坂の上」とは,本田先生がこれまで,そして今勤務している病院(都立駒込,新東京,東京女子医大)が坂の上にあるからだという.しかし,これまで本田先生の臨床医としての経歴を見てきた一人として,彼の医学・医療への取り組みは,秋山兄弟同様に,現場での鋭い観察力と理論的考察力,そして篤い持続力という共通点を感じざるを得ない.
 鋭い現場での観察力の一端は胆囊摘出術における“SS-I層での剝離”の解説に見ることができる.最も安全な剝離層はどこにあるのか,その層は剝離中にどのように認識できるのか,病理組織ではどこに相当するのか,など深い観察力による既存の用語への疑問と挑戦,そして理論的な新たな概念の提唱は,まさに“ホンダイズム”である.CVSへの疑義など圧巻である.“Knack”“Pitfall”“Discussion”を通してホンダイズムの醍醐味を味わっていただきたい.

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目次

ページ範囲:P.836 - P.837

原稿募集 「臨床外科」交見室

ページ範囲:P.890 - P.890

バックナンバーのご案内

ページ範囲:P.952 - P.952

次号予告

ページ範囲:P.953 - P.953

あとがき

著者: 稲木紀幸

ページ範囲:P.954 - P.954

 本年度より,本書の編集委員を拝命することとなった.これまでの編集委員には錚々たる諸先輩方が名を連ねており,私では力不足にならないかというのが本音である.しかしながら,歴史ある医学雑誌の編集委員として,自身も日々勉強させてもらいながら,少しでも外科学・外科診療に貢献できればと思い,編集委員として歩き始めたところである.
 さて,昨今の外科医不足が叫ばれる中,さらに医師の働き方改革が始まり,外科の働き方は一体どうなるのか?医学生や研修医が外科を目指してくれるのか?といった懸念が尽きない.一方で,診療報酬がなかなか上がらず,病院経営のためには日々働かざるを得ない.また大学などの研究機関となれば,研究業績も上げなければならない.これぞまさに二重苦,三重苦となり得る.さすれば,自由診療を掲げて開業をしたくなる気持ちもわからないではない….

基本情報

臨床外科

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1278

印刷版ISSN 0386-9857

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78巻12号(2023年11月発行)

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78巻3号(2023年3月発行)

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