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綜説
外科手術と調節低血圧法
著者: 大谷五良1 飯田文良1 鍵谷德男1 上野明1 浦上正躬1
所属機関: 1東京大学医学部木本外科
ページ範囲:P.577 - P.584
文献購入ページに移動手術野に於ける出血を阻止して手術操作を容易にし,あわせて出血量を減らそうという試みは古くより行われており,エスマルヒ氏駆血帶の使用もその一例であるが,このような目的に低血圧を應用することは比較的最近に始まつたものである.即ちClevelandのGardner1)(1946)はメニンヂオーマの手術に,同じくHale2)(1948)は内耳開窓術の手術に,共に脱血によつてこのような目的を達している.脳神経外科の領域に先ずこのような必要が痛感されたのは興味深いものがある.次いでGillies及びその一派(1948)は高位脊髄麻醉法による低血圧をこの方面に應用して大いにその効果を示したが,しかし脱血法にせよ高位脊髄麻醉法にせよ生体に種々の不利な作用を及ぼし且つ調節性に欠けるものであることは明らかである.
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