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文献詳細

雑誌文献

臨床外科8巻10号

1953年10月発行

文献概要

綜説

總腸間膜症について—日本に於ける本症の統計的観察

著者: 阿久津哲造1

所属機関: 1桐生厚生病院外科

ページ範囲:P.585 - P.593

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 総腸間膜症Mesenterium communeとは,小腸と結腸が共通の游離腸間膜を有し,可動性になつている状態であつて,胎生学的には,胎生第3カ月位迄は,総て総腸間膜の状態にあるが,新生兒では既に結腸間膜の短縮が起つて,上行結腸,横行結腸は後腹壁床に固定されている.然るに胎生学的発生過程中,腸管の種々なる廻轉異常及び癒着固定異常によつて,腸間膜は完成途上に発育を停止し,或は異常発育を呈し,且つ腸走行にも異常を来す事がある.そして最も多いのは,盲腸及び上行結腸の一部が小腸と共通の腸間膜を有し,游離せるものであつて,高度な場合は横行結腸の中程迄小腸と同一の游離腸間膜を有している.
 総腸間膜症自体では何等症状を訴えぬものもあり,軽い胃腸症状を訴える場合もあるが,重篤なる症状を現すと云う事はない.從つて本症と直接関係のない疾患による開腹術の際偶然発見される事がある.しかし時に腸軸捻軸症或は腸重積症等の重篤なる合併症を起して外科的治療の対称となるのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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