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文献詳細

雑誌文献

臨床外科8巻11号

1953年11月発行

文献概要

症例

胃癌と誤られた小網ノイリノーム

著者: 靑柳正敏1 伊沢達吉1

所属機関: 1名古屋大学医学部戸田外科

ページ範囲:P.659 - P.661

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 上腹部の中央より稍々左寄りに表面凹凸で硬固な腫瘍を触れ,某病院で胃癌であろうと言われ当外科を訪れた患者があつたがX線撮影並に種々の臨床檢査の結果判然とした癌の診断根拠は確立されなかつたが胃の小彎側に腫瘍の圧迫像認められ,或は小網辺りから発生した腫瘍ではなかろうかという疑の許に開腹手術を行つた所,果して小網の小彎側で幽門に接近して鶏卵大の腫瘍を発見し之を剔出した.そして組織学的檢索の結果Neurinomなる事を明らかにした.
 一般に小網の原発腫瘍は大変珍らしく本邦5例外國5例の10例に過ぎない.そしてその多くは線維腫であつてE. K. Molodaja(1923),畑(1927),M. Mauro(1934)の三例が之であり,次に嚢腫性リンパ管腫として西田(1936),A. Horrat(1939)の2例があり,他は各1例で長岡・福知の副膵(1938),Boudzinskaia Sokolova(1938)の血管内被細胞腫,J. Patel(1936)の嚢腫及び鈴木(1940),金原(1941)のNeurinomとなつている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1278

印刷版ISSN:0386-9857

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